第7話 ダリウスへの決定的な一撃
ダリウスとの対峙は緊張の頂点に達していた。ユスフは魔法を宿した拳銃をしっかりと握りしめ、目の前に立つ強大な敵に狙いを定めていた。ダリウスの周囲には闇のオーラが渦巻き、その力は尋常ではないことが明白だった。だが、ユスフの心には迷いはなかった。これが最後の一撃であることを悟り、彼は全てを賭けて引き金を引いた。
弾丸は光の筋を描き、時間が止まったかのように静かに飛んでいった。まるで運命に導かれるかのように、弾丸は一直線にダリウスの胸元へと向かっていく。ダリウスはその瞬間、自らの力を解放しようとしたが、すでに遅かった。
「うわああああ!」ダリウスは絶叫し、弾丸が見事に彼の胸に命中した。強烈な衝撃がダリウスの体を貫き、彼の周囲に渦巻いていた闇のオーラが一瞬にして消え去った。
その場に立ち尽くすユスフとグレゴリーの前で、ダリウスの体はゆっくりと崩れ落ちた。闇の力を失った彼の姿は、まるで朽ち果てた人形のようだった。ダリウスは床に倒れ込み、息も絶え絶えの状態で最後の力を振り絞って呟いた。
「なぜ…貴様たちが…こんな力を…」
ユスフは拳銃を静かにホルスターにしまい、ダリウスの瞳をまっすぐに見つめた。「守るべきものがあるからだ。それだけで十分だ。」
ダリウスはその言葉を聞くと、ゆっくりと目を閉じた。彼の呼吸は次第に弱まり、最後には完全に静止した。彼の死とともに、遺跡内に漂っていた不穏な気配も次第に消え去り、静寂が訪れた。
「終わったのか…?」グレゴリーが慎重に周囲を見渡しながら言った。
ユスフは深く息をつき、頷いた。「ああ、これで…終わった。」
彼らが遺跡の中を見回すと、闇の力が消え去ったことで、遺跡全体が穏やかな雰囲気を取り戻していた。壁に刻まれていた古代の文字も、今ではただの石に戻り、何の力も持たないように見えた。
「これで王国は救われた。」グレゴリーが剣を納め、安堵の表情を浮かべた。
ユスフは黙って遺跡の外に向かって歩き出した。彼の心には、戦いが終わった後の静かな達成感と、まだ残された使命があるような感覚が同居していた。
遺跡の入り口に差し掛かったとき、ユスフは振り返り、ダリウスの消えた場所をもう一度見つめた。「あいつも、何かを守りたかったのかもしれない…だが、方法を誤ったんだろうな。」
グレゴリーはその言葉に同意し、肩を並べて歩き出した。「我々も、間違えないようにしないとな。」
二人は遺跡を後にし、沈みゆく夕日の中を王宮へと帰路についた。彼らの背後で、遺跡は再び静寂に包まれ、長い眠りにつくように沈黙を取り戻した。
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