第6話 古代の遺跡への道
ユスフとグレゴリーは王宮を後にし、古代の遺跡へと向かうために王国の北部へと急いだ。道中、二人は不安に包まれた王国の状況を目の当たりにし、ダリウスの力が徐々に広がっていることを実感する。山々を越え、森を抜けて、ついに二人は目的地である古代の遺跡にたどり着いた。
夕暮れ時、二人は険しい山道を進んでいた。霧が立ち込め、冷たい風が肌を刺す。ユスフは無言で前を見据え、ひたすら歩き続けた。彼の隣を歩くグレゴリーも、口数少なく慎重に進んでいる。
「この山を越えれば、遺跡が見えてくるはずだ。」グレゴリーが地図を確認しながら言った。
「霧が濃くなっている。気をつけた方がいい。」ユスフは周囲を警戒しつつ答えた。
「この霧…ただの自然現象とは思えない。」グレゴリーが眉をひそめた。「おそらく、ダリウスの手によるものだろう。気を抜くな、ユスフ。」
ユスフは頷き、拳銃を手にしっかりと握りしめた。山道は次第に険しくなり、足場も不安定になってきた。だが二人は引き返すことなく、遺跡へと続く道を進んでいった。
やがて、遠くに黒々とした影が浮かび上がる。それは古代の遺跡の一部であり、巨大な岩に囲まれた神秘的な場所だった。遺跡の入り口は、不気味なほど静かで、まるで長い間誰も近づいていないように見えた。
「ここが古代の遺跡か…」ユスフはその光景を見て、無意識に息を飲んだ。
「気をつけろ、ユスフ。ここに入ると、何が待ち受けているかわからない。」グレゴリーが警告するように言った。
二人は遺跡の前で一度立ち止まり、作戦を確認した。ダリウスがどのような手段で遺跡の力を解放しようとしているかは不明だが、それを阻止するためには、まず遺跡内部に潜む危険を乗り越えなければならない。
「ここからは慎重に行動しよう。」ユスフが言った。「弾薬は限られている。無駄撃ちはできない。」
グレゴリーも剣を構え、頷いた。「了解だ。お互いに背中を守ろう。」
二人は静かに遺跡の中へと足を踏み入れた。内部はひんやりとしていて、古の魔力が漂っているのを感じ取ることができた。壁には古代の文字が刻まれており、それが何を意味するのかはわからなかったが、強大な力が眠っていることを物語っていた。
しばらく進むと、突然、地面が震え出し、天井から巨大な岩が崩れ落ちてきた。ユスフは咄嗟にグレゴリーを押しのけ、危機一髪で避けることができた。
「罠か!」グレゴリーが叫び、剣を構え直した。
「そうだな。ここからが本番だ。」ユスフは冷静に答え、再び前進を始めた。
さらに奥へ進むと、広い部屋にたどり着いた。その中央には巨大な石碑が立っており、その周りには古代の魔法陣が描かれていた。石碑には強大な魔力が宿っているのが明らかだった。
「ダリウスがここを狙っている理由がわかった。」ユスフは石碑を見つめながら言った。「この魔力を使えば、彼は無限の力を手に入れることができるだろう。」
「だが、我々がそれを阻止する。」グレゴリーが決意を込めて言った。
その瞬間、遺跡の奥から冷たい笑い声が響いた。二人は一斉にその方向を見た。
「ようこそ、守護者たちよ。」暗闇の中からダリウスの姿が現れた。彼の周りには闇のオーラが漂い、瞳には狂気の光が宿っていた。
「ここで終わりだ、ダリウス。」ユスフは拳銃を構え、相手を睨みつけた。
「終わり…?フフフ、始まりの間違いだろう。」ダリウスは冷たい笑みを浮かべ、手を掲げた。彼の背後の魔法陣が光を放ち、部屋全体に強烈なエネルギーが満ち溢れた。
「気をつけろ、ユスフ!」グレゴリーが叫んだ。
その言葉が終わる前に、ダリウスは攻撃を仕掛けてきた。闇のエネルギーが二人を襲い、ユスフは咄嗟に魔法の力を拳銃に注ぎ込んだ。
「これで終わらせる!」ユスフは全力で引き金を引き、魔法の弾丸をダリウスに向けて放った。
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