第5話 王国の異変と新たな任務

ユスフが魔法を使った初めての戦いに勝利してから数日が経った。彼は王宮の中で、さらに魔法と射撃の技術を磨いていたが、その間もリーナ王女やグレゴリー騎士団長と共に王国の安全を守るための対策を練っていた。だが、ある日、王国全体に異変が起こり始める。


早朝、王宮の周囲が異様な静けさに包まれていた。ユスフはその違和感に気づき、いつものように庭園で訓練を始める前に、辺りを見渡していた。すると、遠くの森の方から黒い煙が立ち上るのが見えた。


「また何かが起こっているのか…?」ユスフは眉をひそめ、急いでリーナ王女のもとへ向かった。


王宮の作戦室には、すでにリーナ王女とグレゴリー騎士団長が集まっていた。地図が広げられ、その上にはいくつかの印がつけられていた。ユスフが部屋に入ると、二人は彼に向かって深刻な表情を向けた。


「ユスフ、よく来てくれました。」リーナが言った。「王国の各地で異変が起こっています。突然、村や町で原因不明の火災や、闇の生物が現れる事件が多発しています。」


「まさか…ダリウスの仕業か?」ユスフは問うた。


「その可能性が高い。」グレゴリーが答えた。「私たちの調査では、これらの現象がすべて同時に起こり始めたのは、ダリウスが動き出した証拠と見て間違いない。」


「それに、王国の北部にある古代の遺跡からも、強力な魔力の反応が確認されています。」リーナが地図の一点を指さした。「その遺跡は、かつて強大な魔法使いが封印された場所であり、もしダリウスがそこを解放しようとしているならば、王国全体が危機に瀕するでしょう。」


ユスフは地図を見つめ、深く考え込んだ。「つまり、ダリウスは古代の魔法使いの力を手に入れようとしている、ということか。」


「その通りです。」リーナは重々しく頷いた。「もし彼がその力を手に入れれば、我々は手も足も出なくなるかもしれません。」


「ならば、私が行く。」ユスフは即座に決断した。「遺跡に向かい、ダリウスが力を手に入れる前に阻止しなければならない。」


グレゴリーは少し驚いたように目を見開いたが、すぐにその目に決意の色を浮かべた。「君が行くというなら、私も同行しよう。これは我々全員に関わる問題だ。」


「ありがとうございます、グレゴリー。」リーナは感謝の意を示し、続けてユスフに言った。「ユスフ、これは非常に危険な任務になります。だが、あなたならば…」


ユスフは彼女の言葉を遮るように微笑んだ。「大丈夫だ、リーナ。私にはこの世界を守る責任がある。君たちを信じてくれたことに感謝している。それに、まだやり残したことがあるんだ。」


リーナは微笑みを返し、その表情には少しの不安と大きな期待が入り混じっていた。「どうか、無事に戻ってきてください。あなたにこの国の未来がかかっています。」


ユスフは頷き、拳銃を確かめながらグレゴリーと共に部屋を後にした。彼の心は決して揺るがず、次の任務に向けてすでに準備が整っていた。彼は古代の遺跡へと向かい、ダリウスの計画を阻止するための新たな戦いに挑むことを決意した。

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