出没! マックの女子高生!

「マックの女子高生ってしってる?」

「なんそれ」

「マックでJKが喋るんよ」

「今のウチらじゃん」

「そーだけどちゃうんよ。マックでJKがなんかおもろいこと言って、それを聞いたサラリーマンとかが『こんな会話しててウケた』みたいなツイートすんのよ」

「は? 晒しあげとかいいの?」

「特定とかじゃないからいんじゃね? そんでさ、深い話をしてて感心したとか、迷惑なやつ言い負かしててスタンディングオベーション起きたとか、いろんなバリエーションもあんのよ」

「へぇ。そんなことほんとにあるんだ」

「いや、嘘なんよ」

「嘘かい」

「だからさ、ほんとにしてみない?」

「おん?」

「ウチらがほんとにおもろいこと言ったり、深いこと言ったり、スタンディングオベーション起こしたりとかしてさ、ホンモノのマックの女子高生になんのよ」

「お前さ……」


「天才かよ」

「だしょー!?」






「最近の政治どう思う?」

「政治……」

「そう、政治」

「あんたはどう思う?」

「ん〜……イイ感じよね」

「わかる。イイ感じよね」

「まずさ、こうしてウチらが駄弁ってんのがもう平和の象徴みたいなもんじゃん?」

「で、それが政治のおかげってワケ」

「そゆこと。JKが放課後マックで駄弁れる国。日本いい国だわ」

「それな」


「……こんなんでいいのかな」

「エゴサしてみる?」

「しよしよ。えー、『平和の象徴』とか?」

「鳩しかでないわ」

「『日本いい国』だわ。それなら出るっしょ」

「だめ。悪口ばっか」

「えぇ……日本だめじゃん」

「日本悪い国だわ」

「それな」






「最近エミコがさー」

「まって、誰エミコ」

「いやそこはさ、晒されるかもしれないんだから架空でいいじゃん」

「ウチらはホンモノのマックのJKになるんだから、会話もホンモノじゃなきゃダメじゃね?」

「たしかに」

「誰かいないん? 最近おもろいことあったやつ」

「おもろいこと……」


「いないわ」

「それな」






「迷惑なやつって、あんまいなくね?」

「それな」

「現れねーかな……悪質クレーマーみたいなやつ」

「現れたとして、あんた声かけにいけるん?」

「ムリ。おねがい」

「ウチもムリ」

「ダメか……じゃあなんか、いけないこと言うやつとかいないかな」

「でかい声で独り言言うやつなんかそういなくね?」

「誰かとの会話でもいいんよ。大声でヘンなこと言って、言い負かされてくれれば」

「ヘンなことって?」

「なんか、不謹慎なこととか?」

「例えば?」

「う〜ん……」


「あーあ! 予備校爆発しねえかなー!」

「それな」


「肯定しちゃダメじゃね?」

「そっか、注意しなきゃだ」

「もっかいいくね?」

「よしこい」


「あーあ! 予備校爆発しねえかなー!」

「言っちゃダメなこともわかんないくらいバカなら辞めたほうが早くね?」


「……言うじゃん」

「え? またなんか間違った?」

「いや、カンペキなんだけど」

「起きないね、スタンディングオベーション」

「起きないね……」


「ちょっとすみません」

「え? はい」

「ちょっと立ってもらえませんか?」

「……え?」

「すぐ済むんで」

「え……こう、ですか?」

「そんで、拍手してもらえませんか?」

「え? 拍手?」

「はい。こうやって」パチパチ

「こ、こうですか?」パチパチ

「ありがとうございます。じゃ、これで」

「え、えぇ……」


「どう? スタンディングオベーションになってた?」

「変なカツアゲみたいになってた」

「拍手のカツアゲ?」

「拍手のカツアゲ」






「こないださ、拍手のカツアゲしたじゃん?」

「あー、したした。マックの女子高生やろうとしたやつだ」

「ツイートされてたよ」

「まじ!? なんて!?」

「『マックでJKに拍手カツアゲされたんだけどなんだったんだ……』って」

「まじでカツアゲだと思われててウケる」

「『ご迷惑おかけしました』ってリプしといたから」

「リプしたん? 律儀じゃん。相手なんて?」

「『あれなんだったんですか?』って」

「マックの女子高生してたんですって言った?」

「言った。『wwww頑張ってください』って返ってきた」

「応援されちゃった」

「でももう達成じゃね? マックの女子高生」

「うーん……微妙、かな」

「じゃあ続けるか」

「そーね。『電車で聞こえてきた会話なんだけど』のパターンもあるから、今度は電車でやらね?」

「いいじゃん。山手線一周で何ツイートされるか試そうぜ」

「お前まじ天才かよ」

「まじそれな」






_____

☆あとがき☆


 「ポスト」じゃないのは私がまだXを認めていないからです(過激派)。

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