第6話 1期生自己紹介

暇つぶしでやってみたいと思い、VTuber事務所に応募すると

一般公開ではないテンションで撮った動画で羞恥を晒すも、

無事に採用が通り、SmileLive2期生としてデビュー目前の

ごく普通の女子高生、今野るな。


「ついに1期生の人たちと顔合わせか〜」

配信を見てみたが、それぞれが独特のキャラをもっている。

言ってしまえば、全員クセがスゴイ。

もちろん会話力も凄く、配信頻度も高い。まだ半年しか経っていないのに

私の目にはプロのように見える。


1期生との顔合わせはリモートということになった。


リモート会議アプリに表示された参加人数は10。

1期生4人と2期生5人そして駒井さんだ。


「あーあー、マイク繋がってますかねぇ?」

駒井さんがマイクをオンにした。

「皆さん、マイクとカメラをオンにしていただいてよろしいでしょうか〜」

すると、画面に10人の顔が表示される。

緊張してきた…。


アバターではない素顔を見るのは初めてなので、

誰なのかはわからない。ただ改めて言えるのは駒井さん含め、全員美形だということだ。私もついていけているだろうか...。

「あ、じゃぁいつも通り私が仕切って自己紹介からですかね。

それではよろしくお願いします〜。それじゃぁ、先輩陣の方から。」


「お、じゃぁ俺から行かせていただきます。はじめまして、スマライ1期生の

剣崎氷けんざきひょうと申します。普段はゲームとかやってます。こういう場で話すのはどうかと思いますが、Vだけで食っていくことが目標です。ヒョウパイセンとでも呼んでください。先輩として教えられることはどんどん教えますので、ぜひ気軽に〜」


「おいおい!黙って聞ぃてりゃしっかり自己紹介してんじゃん!

いつもあたしが一番最初だろー!」

騒ぎ立てる女性の声(いい意味)。

緊張して変に声も出せないのでこのまま流れに任せよう。

「はーいっ!1期生明日川莉奈あすかわりなですー!一応特技として、多声類やらせてもらって

まーす!多声類活かして普段は歌枠やってまーす!なんか2期生にもお歌が好きな子何人かいるみたいだから楽しみにしてまーす!」

ちょっと配信見てみたがこの人の声変はすごい。カワボイケボはもちろん、ハムボにロリ、ショタ、セクシーボイス。完全に自分のものにしている。


「そろそろ私が行くか!どうも1期生の五十嵐美海です!ロリです!

永遠の5歳です!最近明日川ちゃんのロリボも人気が出始めてライバル視してます!

一応この中で一番コメントを拾ってる自身があります!謙虚な心と倫理観はどっかに置いてきてしまったのでいつもこんな感じです!」

この人は意味不明ないつもマシュマロを拾っては言い返す、みたいなことをやっている。時々乱入してくる親フラを使ってファンの笑いを取りに行くこともあり、

まいどまいどXにトレンド入りするほどの人気だ。


「最後になってしまいましたね。どうもスマライ1期生八奈見きららです。

1期生の中で一番頭が良いです。

「っておい!あたしが一番!」

「いや俺が一番だろ!」

明日川先輩、ヒョウパイセンがツッコむ。

「みんなうるさいな〜、私が一番って分かってるのに。」

「美海ちゃん、私に勝とうと足掻くのはやめなさい」

「私なの!私が一番!」

「ハイハイわかりましたよ。こんな感じでたまに毒舌家になるのが趣味です。

人の恋愛を見るのが好きなので、普段は恋愛相談にのってます。よろしくお願い

します〜」


「それじゃぁ今度は後輩2期生ですね〜。じゃぁお願いします〜」

それから私達は順繰りに自己紹介をしていった。

緊張していたが、先輩方が作ってくれた空気のお陰でかなり話しやすかった。

喋るたびに反応してくれて2期生の皆との初めての顔合わせを思い出した。


すごい楽しい時間だった。


ついに初配信の準備ができ、2期生全員で同時配信することになった。

大勢に見られながらの配信。今までとは比にならない緊張が込み上げてくるが、

私をときめかせた、可愛い!と思ってもらえるVTuberに、私はなる!


夢への海賊船に乗り込んだ私なのでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

普通の高校生、VTuberやってます! 音心みら🍀 @negokoromira

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画