第7話 緑のやつ襲来


 どうせならパルルのマシュマロをモミモミしとくんだったと、深い後悔をしている時、岩陰からのそりと何かが現れた。


「なっ、亀……だと!?」


 それはゾウガメくらいデカく、威風堂々といった貫禄がにじみ出ている。こわっ!

 口がカミツキガメの様に鋭く尖り、甲羅はグリーンでこんもり、とても硬そう。

 魔物だと思うが、そいつが殺気を放ちながら近づいてくる。

 ゆっくりゆっくりと。


「てか、おそっ!?」


 最初はそのデカさにビビったが、まさに亀の速さで近づいてくるので、拍子抜けしてしまった。

 どうぞ狩ってくださいと言っているようなものではないか。


 これはラッキーチャンスだ! 


 こいつを倒せば、スライム同様に食料をドロップしてくれるんじゃないか?

 俺は、亀が俺の攻撃範囲に入ってくるのを辛抱強く待った。

 だが、なかなか間が縮まらないので、


「カモーン! カモーン! カメ、カモーン! カメーン、カメーン!」


 と挑発するも、変わらず遅っ。


 痺れを切らした俺は、亀に向け猛然と駆け出した。

 そして……前方に派手にこけて顔をしたたかに打ちつけた。


「いつつつつつぅ……くそっ! この鉄球がぁぁぁっ!」


 俺は足元の鎖を持って怒りに任せブンブン振り回すも、鉄球はその場に居座り、鎖だけがガチャガチャとウエーブを繰り返すのみであった。


「はぁはぁ……腕がパンパン……疲れた……くそがっ」


 キレた俺は、鉄球に近づき思いっきり蹴っ飛ばしてやった。


「はうぅぅぅっっっ! 痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!」


 俺は足を抱え、ぴょんぴょん飛び跳ね、転げ回り、のたうち回った。


「くっそぉぉぉっ! パルル許さん! ぜったい復讐してやるぅ……ううっ」


 大の字で悔し涙やら鼻汁をたれ流していると、顔前に影が――


「えっ?」


 ガキンッッッ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る