⚄⚅話 抱っこ!(姫)

 ウーロリッカの魔物知識で2体魔物はゴブリンと判別出来た。先後判定はリョークダイチムギマユミが振り先行を取った。


ムギ「わ、私はどうすれば!?」


 罠にかかった冒険者は器用度判定で足に結ばれた罠を解除出来る。


ムギ「わ、わかった! そうだナイフ買ってたからそれで切るよ!」


 あーなるほど、時間をかけずそのまま落れるぞ。


ムギ「え? わああああ落ちるうう!」

リョーク「ムギ! 受身判定だ!」


 落下した際に自分の持つ防御力意外にも受身を取る事によって落下ダメージを相殺出来る。因みに木の高さ4メートルで落下ダメージ12だ。


ムギ「ッ!? 受身やってみる!」


⚀⚁


ムギ「低い!」

リョーク「出目悪!」

ウーロ「もう大失敗じゃなかっただけマシっしょ」


 出目3+防具4のダメージ軽減で落下ダメージが5になったぞ!


ムギ「それでも痛いよおお!」

リョーク「……なあ、提案なんだけどさ、俺がムギの事をかばえないかなって思ったんだ」


 ムギの真下には俺達がいる。

 俺はダメージを肩代わりして仲間を庇うスキル《鉄壁》を持っている。防具の防御力も高いから肩代わり分ダメージ相殺出来る。


ウーロ「あー、良いんじゃん。状況的に助けない方がおかしいし」

リョーク「よし! それじゃスキル《鉄壁》を発動! 落下するムギを受け止める!」


 という事で、リョークを無事にキャッチした。


リョーク「大丈夫かムギ、怪我は無いか?」

ムギ「ッ!?」

ウーロ「ま、待って! この構図は!」


 完全にお姫様抱っこだあああ!!


リョーク「お、おい! お前ら顔押さえて倒れてどうした! 早く進めるぞ!」

ウーロ「露骨過ぎるでしょ!」

ムギ「ああ……私、お姫様抱っこされるの夢だったから感動しちゃった……」

リョーク「そ、そうなのか? それは良かった。これもTRPGの醍醐味だからな!」




⚀……⚅




「ダイちゃん……」


 ゲーム中唐突にマユミが立ち上がり、座っているダイチの横へ移動ししゃがみ込む。


「な、なんだ?」

「私もムギちゃんみたいにお姫様抱っこしてほしい」

「「はぁ!?」」


 顔を赤くしながら涙目でダイチを睨むマユミ。唐突な申し出にダイチとリッカは声を上げる。


「私、本当にお姫様抱っこされるのが夢だったの! 自分の作ったキャラクターがされてるの見たら我慢出来なくなっちゃったの!」


 マユミは手を合わせる。


「ダイちゃん一生のお願い! 一回だけお姫様抱っこして!」


 彼女のお願いに困惑していたダイチだが、


「そんな事で、一生のお願いなんて使うなよ。いいよ、それぐらい何回でもしてやるって!」

「本当ッ!!」


 マユミは目を輝かせる。

 が……


「ああああああズルい! ワタシもお姫様抱っこしてほしい!」


 リッカがジタバタとブレイクダンスを始める。


「あーもううるせぇ! わかったから! 2人共やってやるって!」

「「やったー!」」


 ひとしきりダイチは、女子達を持ち上げ腰を痛めそうになる。



〈ダイチは2人にお姫様抱っこをして上げた〉

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