⚄話 解説しよう!(炎)

「よくワタシやダイちんがやってる、いわゆるテレビゲームって呼ばれるものは機械で遊んでるっしょ? あれを全て人間達の人力の力でゲームを進めていく遊びをTRPGっていうんだよマユちん」


 急にリッカがハキハキと説明しだす。

 マユミは引け目になる。


「な、なんか、尚更難しいそうな気がしてきた……」

「大丈夫。司会進行役のKPキーパーは大変だけど、ゲームを遊ぶPLプレイヤーは簡単。適当に話して、サイコロを振っとけばなんとかなるから」

「サイコロ?」

「そう、TRPGではいろいろ行動をする時にサイコロを振って、その行動が上手く出来たかどうかを決めるだよ。だから基本、運ゲーなんだよねー」


 リッカは得意げに話しているとダイチが尋ねる。


「リッカ……お前もTRPGの事を知ってたのか?」

「うん、まあゲーム界隈の事はワタシ、詳しいからね。ダイちんも一緒にFPSやってる時に呟いてたじゃん? それで調べたんよ動画でね」

「そうだったのか! やるなリッカ!」


 称賛するダイチにエヘヘと照れ笑いするリッカ。その二人の様子を見ていたマユミが立ち上がる。


「わかった私もやってみる! そのTRPGを! まだちょっとわかってないけど、難しくはないんだよね?」

「おお! マユミもやる気なってくれたか! ありがとう!」


 喜ぶダイチに、リッカが続く。


「まあまあ、ワタシとダイちんでマユちんのサポートをすればなんとかなるっしょ。というかワタシも動画しか観てないから始めてなんだけどね!」


 ニッシッシっと笑うリッカにダイチが反応する。


「リッカ、お前いつの間に動画まで観てたんだ! なんの動画だ?」

「クトゥルーのめっちゃ面白いヤツ」

「ああ! あれか! 俺もそれ見た! めっちゃ面白いんだよな!」

「そうそう、ルールわかんないけど、紙芝居みたいでめっちゃ面白いの!」


 ダイチとリッカは二人で盛り上がっていく。二人の楽しそうな様子を横目に見ながらマユミは購入したルールブックを手に取った。


(ま、不味い……ダイちゃんとリッカちゃんが2人であんな仲良さそうにしてるよ)


 焦りで額から汗が滲み出てきたマユミは本を開き、メロンソーダを吸引しながらルールを読み始める。


(私も話の輪に入れるようにしなきゃ! 最近ダイちゃんとリッカちゃんは一緒にゲームばっかりしてて話が弾んでるし……私だけいつも蚊帳の外な気がする)


 思わず持ってる本に力がこもる。


(このままダイちゃんとリッカちゃんが付き合い始めて……私いらないみたいに……いやダメ! そんなの絶対いや! リッカちゃんは知らないと思うけど、昔ダイちゃんにお嫁さんにしてくれるって言ってもらったの私だから! いくらリッカちゃんでもその座は渡せないから!)


 メロンソーダが無くなってもなお吸い続けるマユミだった。



〈マユミは『嫉妬の炎』に目覚めた〉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る