⚁話 仲間を増やすぞ!(圧)

「えーっと……それでTRPGってなぁに? ダイちゃんとリッカちゃんがいつもパソコンでやってるゲーム?」

「いいや、俺達がいつもやってるのはFPSだ。TRPGはパソコンゲームでもない」


 マユミがお出かけ用の服に着替え終えるのを待ち、彼女の家の中の玄関で合流した。


「そう言えばダイちゃん、朝ご飯は食べた? あれだったらウチで食べてく?」

「いいや、皆で本屋近くのバーキンに行って作戦会議をする。先に人数とブツの確保をしたいんだ」

「ブツ?」

「ルールブックを買いたいんだ。それが無いとそもそも遊べない。よし、準備が出来たなら行こう!」


 マユミが靴を履き準備が整った所で家のドアを開く。

 四方八方からくるセミの叫びと共にカンカンに照りつける真上から直射日光を浴びながら玄関から出ていく。

 マユミの家を出て目の前の道を横断し向かいの一軒家の玄関に2人は5秒程でたどり着いた。


「リッカちゃん起きてるかな?」

「大丈夫。今日の夜3時に解散したからいつもより早く寝てるはずだ」


 チャイムを押すダイチ。


「おはようございまーす。リッカを迎えに来ましたー」



⚀……⚅



 家の中に入れてもらいダイチが話しながら2階へ向かう。


「それでだ。TRPGって言うのはテーブルトークロールプレイングゲームという、イメージとしては複数人でルールの決まったごっこ遊びをするゲームの事だ」

「ごっこ遊び?」

「そう、さっき言ったルールブックっていうルールが書かれた本を読んで司会進行するKPキーパーっていう役割と、KPの話す物語を聞いてキャラクターになりきってゲームをクリアするPLプレイヤーに別れて遊ぶんだ」

「なんか……難しいそう……それをこれからやるの?」

「ああ。でも、そんなに難しくはないぞ、たぶん。言っちゃえば、ちゃんとルールの決まったおままごとみたいなもんだ」


 そんな話をしていると、ふすまの前にたどり着いた。


「おーいリッカ、入るぞー」


 ダイチは容赦なくふすまを開くと、カーテンの閉じられた暗い部屋。キンキンの冷気が漏れていき、中央から青白く光るモニターの光源元が怪しく光るだけだった。


「あれー? リッカちゃんいるのー?」


 マユミが中へ入っていくと、


「ってうわあああ!?」


 足元に人間が倒れていた。床を黒く侵食するように広がる長い髪、そこに大きなヘッドセットと大口を開けてよだれを垂らしながら事切れている少女がいた。


「リ、リッカちゃん大丈夫!? 生きてる?」


 マユミは床に貼り付けにされたような下着とTシャツのみ着けた少女の安否を確認する。ダイチはそのまま窓の所まで行きシャッとカーテンを思いっきり開いた。


「ぎゃああああああとけるぅうううう!」


 寝ていたリッカが目を押さえながらジタバタともがき苦しむ!


「マユミ、リッカを着替えさせるぞ」

「う、うん、わかった!」

「や、やめろおおぉぉぉ゙、外に出たくなああああああああい!」




〈幼馴染のリッカが仲間に加わった〉

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