バステ系TS魔法少女ちゃん
さや
バステを愛せよ
状態異常────それはRPGなどのゲームで魔法やモンスターの攻撃によってキャラクターに発生する『毒』や『麻痺』などの主に不利益を被る特殊な状態のことを指し、バッドステータス、略して『バステ』と呼ばれるものである。
そしてそれを題材とした成人向けゲーム、いわばエロゲも多数存在し、俺はそれが大好物だったのだ。
『毒』『麻痺』『混乱』『魅了』といったよくあるRPGのバステから『発情』『媚薬』『淫紋』『敏感』などのエロゲならではのバステで女の子が苦しんだりエッチな目にあったりするのをみて俺は興奮していた。
日々のストレスを発散するかのようにバステ系のエロゲで日々抜きまくり、そして...............
────テクノブレイクで死んだ
後悔は............ある。パソコンの画面はエロゲのまんまだし、ハードディスクの中身なんて人様に見せられるようなもんじゃない。
まだまだ気になる発売予定のゲームだってあった。
けれど満足はしていた。
自分が好きなシチュエーションのエロゲで抜いて気持ちよく逝けたのだから。
そう、満足して逝って、そして─────
────目が覚めたら女の子になっていた
『魔法少女☆マジカルリバー』通称マジリバという自分が生前プレイしていたエロゲがあった。
それは細かな衣装の変更、様々なシチュエーションでのHシーン、そしてなにより15種類以上の状態異常があったのだ!
そしてその状態異常一つ一つに立ち絵があり、衣装にも反映されてるのである。
俺の性癖とベストマッチしていたこの作品を、俺はやりまくった。
実績も状態異常もすべてコンプリートさせ、本来倒す必要もなくとくにエロ要素もない裏ボスだって倒してしまった。
100回以上はこのゲームで抜いたさ!
自分が死ぬ直前にやっていたエロゲだってマジリバだった!
それほどのめり込み、愛用していたエロゲに
────俺は、女の子の姿で転生していたのだ。
これがエロゲの世界だって気づいたのは転生してすぐだった。
よくわからん森の中で目覚めた俺はあたりを見回し、夢かと思ってさまよっていた。
そして出会った、出会ってしまった。
ギロリと睨む赤い目
口から見える光沢のある牙
毛皮に包まれた2m近い巨体
『怪物』が、そこにはいた。
そいつは俺をみると獲物を見つけたとばかりに唸りながら近づいてくる。
どこかみたことがあるような『怪物』に、その時俺は腰が抜けてしまって後ろに倒れこんだ。
そして今にも襲い掛かってくるその瞬間、体が眩い光を放ち始めた。
その時に俺は魔法少女の力を理解し、同時にこの世界がマジリバの世界であることを理解したのだ。
魔法少女になり、そのあとすぐに俺は『協会』に保護された。
この『協会』というのは魔法少女たちを保護し、育成する場所であり、主人公もある日突然目覚めた力で襲ってきた『怪物』を倒した後保護されている。
ゲームではこの『協会』で回復薬や装備を買ったりする施設であり、なにより難易度がノーマルかイージー限定ではあるがバステを治すことができる施設だったのだ。
下半身に素直になって盛った良いがそのせいで勝てなくなったボスに勝つために一時的にここでバステを解除してもらっていたりとよくお世話になった場所である。
だがしかしこの世界はどうやらハードモードらしく、一時的な状態異常ならともかく永続的な状態異常は治せないようで、そこは気を付けなければならない。
けれど悲しいかな、転生直後でハイになってた俺は『協会』公認の魔法少女になった後、すぐさま淫魔が蔓延るマップ(終盤の最初で向かう場所)へ向かい無様に負けて体に『淫紋』をつけられてしまったのだ。
勿論そのあと治してもらおうとしたら『今の私たちの技術力では治せない』と言われて軽く絶望しちゃったよね。
なにせこの『淫紋』の能力は『全ステータス、状態異常耐性弱化、種族:淫魔と戦う時の全ステータス50%減、常時発情』とかいう効果もりもりなのに加えて、『魔法の使用、もしくは性経験が増えるたびに成長』とかいうこれから沢山エッチなことをしたり魔法を使うたびにコイツが成長して効果が重くなっていくおまけつきである。
別にエッチなことは基本ウェルカムのスタンスではあるけど、さすがに『常時発情』は困る。TPOはわきまえるべき。
だから俺は考えた。
まず一つめは『魔法の使用の封印』
やっぱり魔法はロマンだし、使いたい気持ちはおおいにあるが我慢してパワータイプになることを決めた。
幸いこの世界は筋トレとかしなくても魔力が高ければ高いほど肉体強化が可能なため、脳筋プレイに苦労することはない。
まあ肉体強化に特化しすぎると魔法が使えなかったり耐性が下がったりして大変なんだけどね。
そして二つ目は『精神の強化』である
『マジリバ』にはステータスの一つに『精神』というものがあり、これを上げるとバステの効果を軽減することができる。
バステにかかってないと完全に死にステとなるため、簡単に解除できるノーマルとイージーでは全く上げる必要のないステータスだが、ハードになると話は変わってくる。
なにせ一時的なバステは買ったアイテムで治せるが、警戒していても一部のボスの永続バステはくらってしまうものもある。
そのバステで詰んでしまわないための救済処置でもあるのだ。
そして俺はその二つを主人公が来る前に鍛えられるだけ鍛えておくことにした。
なぜなら主人公が受けるはずのエロイベントから守る(そしてそのイベントを代わりに受けたい)ために。
そう思いやれることは全てやった。
毎日毎日特訓の日々、これも全てエロのためだと理由をつけて頑張った。
そして約二年経ち、今に至る。
...........さて、これまでの長い回想をやめてこの状況をいい加減直視しようか。
「............先輩、聞こえてますか?」
俺の小柄な体を後ろから抱きしめて甘い声で耳元にささやく女。
そう、我らが主人公の『川崎さやか』である。
俺はこのさやかが半年前に『協会』に保護されてからずっと色々な面倒をみていた。
マジリバには一応ストーリーはあるが抜きゲーのためとてもシンプルなものだ。
一般市民や普段の生活を脅かす『怪人』や『怪物』を操る悪の組織を倒すために魔法少女がおり、それに立ち向かっていく、というありきたりなストーリーになっている。
そして今は序盤のボスを倒すことに成功したは良いものの、中盤のボスであるサキュバスがいきなり出てきてボスにとどめを刺すことができずに返り討ちに合い、『協会』にかえってきて治療などが一通り終わったところである。
俺はさやかの先輩としてサキュバスの攻撃を代わりに受けとめたは良いものの気が付けばびくびく痙攣しながらさやかにお姫様抱っこされて運ばれていた。
どうやらサキュバスの『魅了』にかかっていたようなのだが、残念なことに記憶にのこっていない。
『魅了』は第三者目線からみるととてもエッチで大好きなのだが、己が経験するとなんとも不思議なものであった。
「..........先輩の、その、模様って.......」
どうやら俺の下腹部の紋様が気になるらしい。まあこれは好きでつけたものだから気になくていいよ。
俺がそう伝えると、さやかは再び俺のことをぎゅっと抱きしめて動かなくなった。
抵抗するのも面倒だったので俺はおとなしくさやかの抱擁を受けて止めていた。
あとおっぱいが背中にあたって気持ちいい。
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