54 仙丹三分クッキングのお時間のこと
「皆さま、こんにちは。仙丹三分クッキングのお時間です!」
肝油はにこやかに笑い、妙に丁寧な口調でいった。
「申陽先生、今日は皇帝の子授けのための仙丹をつくるんだな?」
彼はなぜか頭にフキンをかぶり、エプロンをつけている。
「はい、そうです。蟠桃にすっぽん水晶の玉、そして美少年の精を混ぜてつくります。
それを太上老君さまの炉にかけて、三日三晩待てばできあがりです」
メガネをかけた申陽が、ベテラン料理研究家のような口調で答えた。
「材料はこれだな」
調理台の上には、銀色のボウル類が並べられている。
「まずは、すっぽん水晶を砕いた粉だ。
申陽先生、水晶って食べられるんですかあー?」
ボウルには透明な粉が入っている。
「はい、そうです。五石散には五種類の鉱物が入っています。
漢方薬ではよく使うんだ」
「そしてこちらは、蟠桃のタネ。実は使わないんだな」
「はい。蟠桃のタネの、核の部分には不思議な霊力がこめられています。
子授けにはこちらのほうが大切……だと、太上老君がいっていた」
「じゃあ、あとで桃の実はおやつに食うか。それで、美少年の精ってなんですかあー?」
肝油はわざとらしくいった。
「三蔵法師のように、今まで一度も達したことのない美少年の、はじめての精が必要なのです」
「ええー、そんなやつ、いねえんじゃねえか?」
「確かに、とても珍しい材料です。でも大丈夫!」
申陽はメガネをとって、前話から抱きしめたままの、金玉のバラのつぼみをきゅっと握った。
「ひゃっ!」
「あれぇー、痛そうですねぇー、もっと優しくしてやったほうがいいんじゃねえか?」
肝油はニヤニヤしながらいった。
「では肝油さん、お願いします」
「だ、だめっ! そんなの、きたな……あっ!」
肝油は金玉のものに舌をはわせ、それを口にふくんだ。
「やだっ! やめ……肝油、お願いっ……!」
「はい、これは壺に入れないとだめですからねー、そこで出しちゃだめですよー」
申陽は淡々と注意ポイントを述べていく。
「けっ、つまんねえな」
肝油は口を離し、側に置いてあった壺をひきよせた。
「二人とも、ごめんなさいっ! だから、もう許して……」
「先生、美少年が何かいってますよぉー」
「もうちょっと刺激が必要みたいですねー」
申陽は金玉を背中から抱いたまま、前のほうに手を伸ばして、ゆるゆるとしごいていく。
「さ、さわっちゃ――あっ、あっ! そんなっ、ぼく……」
「だいたいおめえ、おれたちのどっちが好きなんだよ?」
肝油はドスのきいた声で、金玉に問いかけた。
「どっちって……んっ」
金玉は肝油に唇をふさがれた。
言葉づかいは荒かったが、その口づけはとても優しかった。
やがて彼の舌が押し入ってきたが、金玉はされるがままで、その熱に身を任せるのであった。
「んん……肝油……」
「ほーら、立った。おれのほうが好きなんだろ?」
いつの間にか金玉のさんざし
「これは私の
申陽は腕の力をゆるめ、金玉の耳に舌をはわせた。
「やっ、それ、だめっ……いやっ……申陽さんも、しよう?」
金玉は後ろをふりむき、申陽におねだりした。
申陽はその声に応え、優しく口づけを与えてやるのだった。
「――おい、くそっ! いいぜ。おれはこっちでやるからな」
肝油は金玉の先っぽをふくみ、ねぶったりしゃぶったりいろいろした。
「ああっ、だめ! ぼく、ぼくもう……」
「はーい、申陽先生、だいぶ固くなってきましたー」
「そろそろ壺を用意しましょうねー」
「これに精……」
「いや、ちがう! それは豆乳だ!」
申陽はきっぱりといいきった。
「今はあくまでも仙丹クッキングの時間なのだ!
何か白いものでべとべとになっても、それはきっと豆乳だ!
あるいは練乳でありヨーグルトであり杏仁豆腐なのだ!」
申陽はどこかの方面に向けて、がんばって自説を主張した。
「へっ、わかったよ。じゃあどっちが
「それはもちろん私だろう」
「は? おまえは金玉をおさえておけよ」
「もう、二人ともケンカはやめてよっ!
ぼく、自分でするから――離せ、エテ公!」
金玉は奴隷に命令して、自分のものをつかんだ。
「ぼく……はあっ、二人とも嫌いじゃないんだ……」
金玉は何かを両手で包み込み、下ごしらえをしていった。
「肝油は最初はキライだったけど、やさしくて……大好きだよ」
ほどよい硬さになるまで、こねましょう。
「申陽さん、ぼく、あなたにならやらせてもいいと思ったのに……信じてくれないの?」
それを出す時は、あまり力を入れすぎないようにしてください。
やさしくこするように刺激を与えるのがコツです。
――相変わらず、あいまいな態度ばかりとっている。
「やだっ、こんなの……自分でしてる……ああっ、もっとよく見てよ。ぼくの恥ずかしい姿を……」
「は、はいっ!」
肝油と申陽は、いわれた通りに食い入るようにそれを見つめた。
「あっ、んんっ、ぼく……もうっ、無理……この豚! さっさと手伝いなよ!」
金玉はいまいちコツがつかめないようだった。
「は、ははっ。ただいま!」
申陽はいわれた通り、後ろから手をのばして、金玉のものをすりあげた。
「いいよっ……もっと強く――ああっ!」
――三こすり半したら、できあがりです。
フレンチドレッシング的な何かが、ぴゅっとこぼれた。
「よし、とれたっ!」
肝油は無事、壺に白いものをおさめた。
「さて、と……」
そして、自分も服をぬぎはじめた。
「な、なに……?」
金玉は初めての快楽で、頭がぼんやりしたままだった。
「このままじゃおさまりがつかないんだよな。今度はおれたちの番だろ?」
――いよいよ
「おい、まだか?」
部屋の外から太上老君の声がした。
「で、できたぞ!」
あわてて申陽が答える。
「それからおまえら二人、炉の火を見ておれ。
火が絶えたら、仙薬は作れないからな!」
「わ、わかった……」
肝油はしぶしぶながら服を着て、壺を手にとった。
「さて、あとは材料を調合して、火にかけるだけです」
申陽は料理番組としての体裁を整え、二人はバタバタと部屋を出ていった。
今日は、男性不妊にバッチリ!
太上老君特製の、子授けの仙丹の作り方を紹介しました。
材料です!
すっぽん水晶の粉 100g
蟠桃のタネの核 3つぶん
美少年の初めての精 1回ぶん
以下、次号!
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