第15話
「着いたな……」
「……あぁ、着いたな」
俺たちは、しよりたちに教えてもらった通りの場所に行くとそこには、とんでもない豪邸があった。
「ここなんだよな?英治」
「ここのはず……。取り敢えず、ピンポンするか」
「宜しくな、英治。俺流石に勇気無いわ」
「俺も無いぞ、そんなの……」
俺はそう言いながらも、インターホンのボタンを押す。
『はーい、あっ英治、うん、中入ってきて、門、今開けるから』
インターホンから聞こえてきたのは、かおりの声で、かおりがそう言うと、門が横にスライドして開く。
「なぁ、まさかとは思うが真野ってあの真野か?」
「あの真野?真野……真野……真野……あっ、真野社長?」
ちなみに真野社長と言うのは、トップ企業である、真魔工の真野程哉の事である。
自分で会社を作り上げ、わずか一代にして国から公共交通機関などの、重要な事を任されるまでに成長した企業の社長である。
そもそも、量産型のバロットを開発、販売をして居るのも新魔工だし、わずか半年で魔法陣の技術を5年分ほど進めたのだって新魔工である。
閑話休題
俺たちは、しより達に案内される。
「なぁ、しより達の父親ってさ、真魔工の社長さん?」
「あっ、うん、そうだよ。最近は忙しくてあんまり家に居ないけど」
「そっか」
その時のしよりの顔が少し曇って居るように見えた。
その日は勉強だったりお菓子を食べたりなどをして特に何も無く時間が過ぎ、解散になった。
※
「どうだった?」
「どうだったって?」
「ほら、今日行ってたんでしょ?友達の家に」
「勉強したり喋ったりしたよ、それ以外は特に」
「そっ、か(ちょっとだけ、寂しかったなんて言えない……)」
そのしずくの呟きは英治には聞こえなかった。
しずくが作ってくれた夜ご飯を食べ終わると、食器を片付けて居ると端末に着信が届く。
「取ろっか?」
しずくがそう言うので俺は、こくりと頷く。
「はい、どうぞ」と言って渡してくれるので、お礼を言って受け取りハンズフリーで電話に出る。
『もしもし、須田くん?今いいかしら?」
「何ですか?本藤先生」
通話の相手は、担任で有る本藤先生だった。
『須田くん。貴方この前の事件で魔法を使えるようになったんですって?それのことでちょっとだけお話が』
あの事件のことはセントチュアリーとしては、隠していたい事のはずなのにどうしたのだろうか。
「どうしたんですか?」
『監視カメラの映像をちょっと見たんだけど、古式魔法をかなり上手に扱っていたから、初めてなのにそんな才能を育てないのはって事になって、魔法科の方に移動してみてはどうかと言う話になったの。どう思いますか?』
「どう思うと言われましても……」
『分かってます。そんなに簡単に答えは出せないですよね、よく考えてからで良いので返事を聞かせて下さい。今日はこれで』
本藤先生はそう言うと、通話を切った。
俺はしずくと、目を合わせ首を傾げた。
「しずくは」
「好きにして。英治の好きにして。英治がやっていきたい方にして」
俺が全部を言い終わる前に、優しく話しかけられる。
「分かった」
しずくのこう言うところを見ると、ミーシャのようで懐かしさを感じる。
まるで、しずくがミーシャなのでは?と思ってしまうほどに。
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