第14話
俺は出来るだけ須田英治で過ごして居た記憶を辿りにしずくとの会話をしたりして、学校に登校した。
「おはよ」
教室に入るとそこは昨日の出来事が無かったかのように普段通りであった。
いつもと違うのは、俺のことをを見る視線が多い事だろうか。
その視線とは、いつもの秀太としより先輩の物だった。
しより先輩は、いつも通り本を読んでいたのだが、俺が教室に入ると、こちらに視線が向いた。
俺が席に移動すると、しより先輩がこちらに近づいてきた。
「あのさ、昨日はありがとう。あと、ごめんなさい」
先輩はそう言うと頭を下げてきた。
昨日も言われた気がするが改めてと言うことなのだろう。
「だからそんな事ないですって。こうやって生きてるわけですし、何の問題もないですから」
俺は思ったことを素直に伝える。
「それなら良いんだけど……。あと、私のことは、しよりって呼んでくれた方が良いかな。生徒会では、ちょっと緊張しちゃって。距離を置いちゃったけど……」
「わかった。改めてよろしく。しより」
「うん。よろしく」
俺は、生徒会でしか話さないような感じだったが距離が一気に近づ居たと思う。
案外、須田英治の性格は前世の俺とほとんど変わらない様だったから、あまり演技をしなくても済んだと思う。
装束たちの襲撃から3日がたち、みんなが忘れかけて居た頃に事件は起こった。
「ちゃんと予定を見ていた人は知っているとは思いますが、定期テストがあります。本来ならもうちょっと前に教えるべきなんですが、あれも有りましたし、報告が遅れました。あと二週間ちょっとです。部活も、一週間ぐらい前から無くなりますので」
本藤先生が、教室から出て行き朝のホームルームが終わる。
「定期テスト……。勉強してない。予定も見てなかった……。終わった」
セントチュアリーでは、合計5回のテストがある。そして次のテストが第一回目のテストだと言うのだ。
「そこは、英治に頼めば良いんじゃない? 何かそう言うと魔道具持ってそうじゃない?」
「そう言う事なら作れるぞ」
俺はかおりの質問に答えると、秀太が食いついてくる。
しよりと仲良くなれば普段一緒に居ることが多い姉の方とも仲良くなるのは、ほぼ必然とも言えるのだろうか、普通に仲良くなった。
かおりはしよりとは違い、最初っからフレンドリーに話しかけてきた。
「なら!」
「でもな、問題があってな。脳に高負荷を掛けることになるから、可能性としては、記憶どころか脳が使えなくなる可能性があるんだよな。それでもやるか?」
俺がそう言うと秀太はブンブンと頭を振り、「絶対にやりたくない」と発言する。
「結局、自分でやれって事なんだよね。私もやらないと」
普段から勉強が出来て居そうなしよりはそう言うと、秀太には嫌味に聞こえるらしく。少しぶーたれて居た。
「別に秀太も、勉強手巻きそうだけどな、授業もちゃんと聞いてるし」
「英治が言うのが一番嫌味に聞こえる気がする」
「そりゃ、まだ中学生なんだもんね。ここまで飛び級されるとやる気が……」
かおりと、秀太は冗談ぽく気を落とす演技をする。
「じゃあ、いっそのこと勉強会でも開いたらどうかな?」
しよりがそう発言をすると、かおりと秀太が反応する。
「それ良いな! やろう!」
「面白そう、やってみようよ」
「ちなみに何処でやるんだ?」
俺がそう言うと、全員悩み始める。
「私の家、とか?」
そう言ったのは、かおりだった。そして、その発言に過剰に反応したのが、しよりだった。
「それでも良いけど、かおりたちは問題ないのか?」
秀太がそう言うと、問題も別にない為、しよりの家でする事になった。
※
次の日、俺と秀太は、セントチュアリーで待ち合わせをして、二人で教えてもらった家に向かう事にした。
距離的に歩いていくのが、かなり面倒臭かったので、公共交通機関を使って途中まで行き、そこから歩いて行こうと言う事になった。
「えっと……。あっちの方だったよな?」
端末に送られている以前に、駅も見つけれて居ない秀太に向かって「方向音痴なの?」と聞くと、やはり方向音痴だったらしい。
「逆、あっち。俺は秀太の見ている方向と逆の方向を指差し、そっちに歩いていく。
「マジで?こっちじゃ無くて?」
秀太は、俺に付いてくるがそれでも自分の見て居た方向と真逆だった事に疑問を持っているらしい。
俺たちは駅に着くと、階段を降り改札を通ってホームに出る。
電車は全て地下にあり、いわゆる地下鉄という物になっている。
電車と言ってもレールは無くただ、大きな車両を使ってもいない為、2000年頃の電車とは全く違う。
二人、五人、十人乗りのカプセル型の電車がある程度の量を各駅の地下にある魔道具を使った倉庫に保管されており、そこから必要な時に必要な分だけ空間魔法の魔法陣で、必要としている駅に飛ばす。降りると再び元の場所に戻るという形で出来ている。
その為、ホームに人は溜まらないし、搭乗口と降り口は別の位置にあり、通過電車はホームを通らない為、転落事故なども起きない。
カプセルは、タイヤなども付いておらず魔力で空中を浮き移動する。
しかし、とんでもない量の電車が走っており、普通のシステムじゃ処理が追いつかない為、これも特殊な魔道具で運用されている。
このカプセルは、従来の電車よりも早く移動できることは確かだが、外国や、主要都市同士の移動にはもっと高速なものが使われている。
レールガンと言われていた武器を応用した電車であり、地下を真っ直ぐに魔法で穴を開け、その中にコイルを巻いた筒を入れそこに電車を通すという方式で動いている。
スピードはマッハを軽く超える程になっている。そのスピードを受け止めるために減速の魔法陣で停止させられる。
電車は魔工の技術をフルで使った乗り物であることが分かる。
俺の居た時代では、とてもじゃ無いけど信じられないな。
閑話休題
俺は秀太が出した二人乗りの電車に乗り込んだ。
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