第10話
俺は、現実逃避でもしたいのか、関係のない他ごとを考えてしまうが、そんな考えを頭から追い出し、今は目の前のことに集中する。
俺はバラバラになった刀て、敵のボスを斬ろうとするが、もう一体の幽霊に阻まれ惜しくも届かない。
この白い刀はいわゆる攻撃タイプという奴で、黒いバロットの方は、空間魔法で七十五式の様な武器を取り出す事が出来るが、本来の機能は、防御タイプのバロットだ。
白いバロットは、鋭い刃を無数に飛ばして敵を斬る設計になっている為、何かを押したりするなどの力は持っていなく、その代わりに瞬間的なスピードを数倍に跳ね上げることができる様に出来ている。
黒いバロットの方は、加速によってスピードを付けることは出来るが、刀バロットの速度には届かない。しかし、本体のパワーと耐久度はとても高い設計にしている為、先ほどの様に、物理的にダメージを負わせる事が出来る。
このバロット達は俺の知っている限りは最強の矛と、最強の盾となる。
閑話休題
俺は、魔力がごっそり無くなっていく脱力感を抑えながら、防御と攻撃を同時にこなす。
「そんなもんなんかい?ちょっと期待外れなんだが、しゃーないこんな所で時間食ってても大将に怒られるだけだ。この勝負終わらさせてもらうか」
大柄な男は、幽霊に与える魔力を増やしたのか幽霊の一撃一撃が重くなる。
さっきよりも、明らかに魔力の消費が激しくなり、黒いバロットの中に溜めていた魔力を使って戦う羽目となった。
しかし、押されている状況は変わる訳がなく、幽霊の一撃を俺の供給している魔力では抑え切れずに、何度か食らってしまう。
やはりそんな事をしていても、俺の魔力が先になくなり、敗北してしまうのは目に見えているだろう。
唇を噛み締め俺は、黒いバロットの中に溜めていた魔力を全て引き出し、白い刀を元の形に戻して、黒いバロットの魔法陣に魔力を全てつぎ込む。
「?」
男はバロットから、大きな魔法陣の発動兆候が生まれていることに気づき、不思議そうな顔をする。
「オーバードライブっ!」
俺はそう短く詠唱をして、魔法陣から魔法を発動する。
この魔法は、しずくのオリジナルの魔法で、魔法陣として使用した時の負荷が強いので、一回使うと魔法陣どころか、バロットが逝かれてしまい、修理をしないと使えない代物になってしまう。
しかし、それに見合う力もある。オーバードライブは、射程100mほどのレーザービームで有り、その範囲であればコンクリートだって穴を開ける事が出来る。
それをコントロールして、射程5mほどの人間一人をまるごと巻き込めるサイズのレーザービームへと、変化させる。
俺が詠唱をすると、轟音とともに凄まじい光に包まれる。
「これで……」
俺は、魔力と幽霊の打撃による攻撃でダメージを負っていたため、残る力を振り絞り男達の方向を見る。
砂埃が晴れると、そこには悲しい事にほとんど無傷な状態で立っている。男がいた。
「それで終わりか、じゃあ今度こそ死ね」
反転の魔法陣を使った事が最後に分かりそのまま、意識が離れようとしていく。
ダサいな俺、新装備の試験運転とか言って飛び出て、負けるって……。
本当にダサい。結局助けろと言われたしより先輩も助けられてないし。
また救えなかったのか……。
?……。
また?俺は一度も誰かを失って……。
ミーシャ…………。
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