第8話
「それじゃあ、役割について説明については、書記は、いずみに。会計はリーナに聞いてくれるかしら?」
そうやって言われて、俺達会計としてリーナに聞くことになった。
そう言えば、同じ会計になったわけだけど、真野妹のことはなんて言えばいいのかな? 真野先輩だと真野姉と被るよな。しより先輩? まぁ、ここは真野先輩で通そう。
同じ高一なのに、先輩付けもおかしいように感じるが、俺が生まれたのが後なのだから仕方がない。
人によっては、英治のことを秀太の事もあって、先輩なのに先輩付も敬語も使わない無礼な奴だと思われているかもしれないがそれは全くの間違いである。
秀太は、自分から名前で呼べと言って、タメ口で話してくれと言われていた為、そうやって話していた。
「新人君、真野ちゃん。会計の仕事は何か説明するね、会計は生徒会予算の計算だったり部費だったりと、そこら辺の仕事をしてもらうことなるから。あと、仕事はそれ使ってな、わからないことあったら教えてな、簡単だからやりながら覚えてけるから」
それだけ言うとリーナは、生徒会長の所へ行ってしまった。
「真野先輩、今ので分かりました? 僕は全然わからなかったのですが」
「分からなかったと私も思う。もっとちゃんと教えてもらえないと。あと、私の事は真野先輩じゃ無くて、しより先輩と呼んでもらったほうがいいかな。真野先輩だとお姉ちゃんと被っちゃうから」
「分かりました。しより先輩」
やはり俺が思った通り、真野先輩じゃダメだった。
俺達が、戸惑っていると花音先輩が、頭を抱えていた。
「そうでした……。リーナは、人に教えるのが無理でしたね……。会計だったからと言う理由で選んだんだけど。悠哉出来る?」
「分かった。リーナは完全に感覚派だから人に説明すんのは無理だって、春休みで少し抜けたか?」
「そうかも、とりあえず宜しくね」
「頑張って悠哉くん!」
「いや! お前が教えないからそうなってるんだろ!」
まるで他人事のように応援をするリーナに対して、高桑先輩は多少感情的になる。
その後、高桑先輩に会計のやり方を教えてもらい、その日の解散となった。
※
2週間後の五月上旬。俺たちに生徒会の仕事が馴染んできた頃。
「あれ、どうなりました? 英治くん」
「出来ましたよ。端末に送っておきますね」
俺は、会計用の端末で仕事をしながら花音先輩に結果を送る。
「チリリリリリッ」
スピーカーから非常用のベルが鳴る。
「「!?」」
リーナと、結城先輩は目を見開いて驚く。今ここには、俺と花音先輩、リーナ、結城先輩が居る。
「どうしたの? 訓練?」
「今日は訓練では無いはずだよ。のんのん。鳴り終わっても誤動だと言わないんだから本物って事でしょ?」
リーナが、そう言い終わるとスピーカーから、今度は教頭先生の声がする。
『今のは誤動でも無いですし。訓練でもありません。侵入者です。教室にいる生徒は、近くの先生の指示に従って落ち着いて行動をしてください』
「バタンッ!」
その音と同時に、制服を着た大柄の男が入ってくる。
「慧くんっ!」
花音先輩が、慧くんと呼んでいる人は風紀委員会長の品川慧先輩だ。
「花音。どうする? こう言う時の為に、風紀は訓練をやっておるし、1年も安全なところで動かすことはできるからな」
「分かったわ。生徒会も避難誘導に動きます。イヤホンを使って先生の指示を良く仰ぐように」
こういった時に生徒会と、風紀委員会には、独自に動くことが許可されている。それに、本当の非常時であれば、殺傷力の高い魔法も使う事を許可するように言えるし、使う事も出来る。
品川先輩は、それを聞くと急いで生徒会室を出て行った。
「イヤホンをみんなに配っていたのを覚えていますね?それを使って先生などの話を聞いて行動をしてください。訓練通りに。英治くん、いきなり実践だけど出来るかしら? もし無理なら」
「全然大丈夫です問題はありません」
花音先輩が全てを言い終わる前に、俺はそう言う。
「分かりました。みんなのやるべき事は、生徒の避難です。腕章を付けておけば、生徒会の効力が働きますので忘れないように」
その言葉と同時に、先輩たちはそれぞれ解散する。
バロットの良い練習台になってくれるだろうか?最悪の場合、七十五式も有るし試運転にもちょうど良いな。
俺は笑みを浮かべながら、指定された場所へ向かった。
※
3クラスの避難誘導を終わると、緊急の連絡が入る。
『普通科、2年生Dクラスの前、真野しよりさんと、侵入者のグループと対自、近くて戦力がある人は応援に』
それを聞いて俺は、バロットの光学迷彩を解除して、加速の魔法陣を自分とバロットにかけて、すぐに移動を開始する。
さてと、どうするかな。
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