( #140字BL )縁 (湊音)

 僕らが出会ったあのダイニングバーが閉店らしい。

 ここで開かれた婚活パーティで僕らは出会った。

 僕は1人で行くのを躊躇った上司の付き添い、李仁は人数合わせのサクラ。

 もしどちらかが断っていたら行かなかったらと、何度か考えたことあるけど多分僕らのことだからどこかで会っていたのかもしれない。



 ※※※

「そうね、婚活パーティで出会ってなかったら……次出会うとしたらシバがミナくんの高校の剣道部に派遣した時に会ってたかもしれないわ」

 と李仁。

「じゃあシバを僕の高校を選ばなかったら……あー、普通に本屋さんで会ってた?」

 李仁は湊音が通っていた本屋で働いていたようだが気づかなかった。


「でもその本屋さんも今はない……わたしも本屋のバイト受からなかったのよ。本部の人はだめだったけど店長がなんとか採用してくれてさ」

「じゃあそこで採用されていなかったら……どこで会ってたんだろう」

 んー、と湊音が考える。


「なんだかんだで会ってるかもね」

「だといいよね」


 2人が出会ったことでそれぞれの人生は変わったわけで。


 縁とは不思議なものである。

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