第七話 過去の話

「それよしかお前、ちゃんと治療してっか?」

 シバは遠くの方を見つめながら言う。


「う……ん。仕事も辞めてるからちゃんといけてる感じ。平日の方が空いてるからね。シバの方こそどうなんだ」

「ほぼ半強制。通院日になるとジュリが迎えに来る」

「それはそれは……そこまでしないと行かなさそう」

 と2人はサラッと言っているが2人とも幼少期、シバはそれに加え刑事時代の事件や事故の後遺症もあり心療内科に通っている。

「それになー、昔はぼちぼちだったけどここ数年はちゃんと通わないとなぁって。年かな」

「こんな強靭な身体でそう思うなら僕はぐちゃぐちゃだなぁ」

「ふと気を緩めると急に来るからな……あーやだなおっさんになるって」


 とシバがつい声を大にして言ってしまう。すると周りの高齢の男たちの目線が一気に来た。


「シバ、声でかい」 

「すまんすまん……」

「てかもう出る、ゆでたこ」

「気持ち良すぎてついつい……てさ、昔剣道合宿で泊まった旅館のこと思い出す」

「あー。僕が個室の温泉でのぼせて気づいたらシバに助けてもらったけど全裸で……」

「あなたには拒絶反応してたくせに、なぁ」

「懐かしいよ……ほんと」


 2人は顔を赤くしつつ湯船から出た。


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