第四話 らしくない?

 近場のスーパー銭湯のためすぐ着いた。

 リニューアルオープンしたばかりだという。

「たまたま夕方のニュース見てたらテレビの取材来てた。美味しい御膳食べてるところだった」

「シバ、すぐ食欲だね」

「昔は性欲だったけどなー……ハハハッ」

 と、湊音の方を見ると艶めかしそうに見つめている。


「ねぇ、入る前にキスして」

「……え、うん」

 と、2人はキスをした。滋賀の時よりも少しぎこちないものの湊音は至福の顔。


「もぉ、なんかシバ変だよ」

「知るか……温泉の中で発情しちまう」

「だったら今から少し発信したほうがいいんじゃない?」

 シバはそこまで乗り気でなさそう、

「……少し前くらいなら車の中でってなるけどさぁ。ずっと寮生活続いて……そのなんか……」

「シバ」

「ん?」

「変わったね……」

 苦笑いするシバ。

「もう俺はも45だよ。アラフィフだよ?」

「だね。でもちょっと身体反応してるよ、よかったよかった」

「よかったって……ちょっ!!!」


 珍しく湊音から。

 だが湊音は辞めた。

「なんかさ、らしくない」

「?」

「シバらしくない……、やっぱそのまま温泉行こっ」

「……ん。まあ、まずは温泉だな」

 確かにぎこちなさはシバにある。

 2人は車から降りた。


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