第二話 突然の電話

 すぐに湊音は電話した。メール打つ気力はなかったのに。

 打つよりも喋りたい、シバの声が聞きたい。

 でもこんな平日に何故?


 すぐに出た。出ないと諦めていた。

「シバ……どうしたの」

『おっすーどうしたもなにも暇だからさ』

 相変わらず気の抜けた声に湊音はニヤっとする。


警察学校の先生の仕事おしごとクビになったぁ?」

『なわけねーだろ、普通に交代休だわ。ここクビになったらもうどーすりゃいいんだよ』

「天下りじゃん、結局」

『天下りとかいうな、ご縁だ……ご縁!』

「ふぅん」

 過去のシバの職歴(警察をやめたあと結婚した妻の代わりに主夫業、離婚してからプータローや清掃業を経て今は警察学校の指導員)を知っている湊音は鼻で笑うがそのやりとりがただただ面白いだけである。


「でさ、なぁに? おやすみなんでしょ。ジュリのところに戻るの?」

『それなんだよ! ジュリこんな時に限ってさー……食材の買い付けに行ってて。夜帰ってくるらしいから……それまで暇なんだよ』

 湊音はその言葉を待っていた。


「じゃーあ、来てよ。おうちに」

『あ、あほぅ!』

「何がアホなの?」

『今家に李仁おらんやろ?』

「うん……いないからさぁ」

『それがアホやろ! 2人きりだったらやることひとつやろ』

 湊音は吹いた。


「そんなこと思ってなかったのにぃ」

『相変わらずお前の天然炸裂しとるな、安心した……元気そうだ』

「……でも家に来て」

 シバはしばらく黙った。


「ダメ?」

『そや、風呂入りに行こう』

「久しぶりでお風呂?」

『あほか! スーパー銭湯!!!』

「スーパー銭湯!!!」



 ということでスーパー銭湯行きが決定し数十分後にシバは湊音のマンションまだ行くのであった。

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