第26話 ソフトクリームの機械が壊れて全然止まらない2
ジュリが全員を集め明日の打ち合わせをする。
「先日メールで送った通り、人員配置やタイムスケジュールなどは書いてあるけど当日は多くのお客様がみえるため臨機応変に動けるように」
食べ物はいつものように券売機で、持ち帰りまたは店内で。
湊音は券売機前、李仁は厨房、ジュリは持ち帰り対応、シバはキッズコーナーのドリンクやソフトクリームの補充。
「今日設置したこのソフトクリームマシーンは基本お子さんまたは保護者の方が自主的にやってもらうけど去年別のイベントではひっきりなしだったからシバ、補充や手伝いお願いね」
「ほいほーい」
と言いながらもお腹をすかし上の空。湊音が横で小突く。
説明も一通り終わり。実際に李仁が機械を動かしてソフトクリームを作る。とても綺麗な形である。
そしてシバがやるのだが不格好だがなんとかできた。
「これは子供でもできる簡単なやつよ。変な力を入れなくてもできるから」
とシバが作ったソフトクリームは取り上げられてしまった。そしてそれを応援に来ていた女性スタッフに渡す。
「どうだ、俺の作ったやつー?」
「おいしいです、ありがとうございます……」
シバはニヤッと笑っていたもののなんで食べれないんだと少し不服そうな感じもするが。
そして一通りの説明が終わりほとんどのスタッフは帰った。
残った4人。そして約束通り……。
「シバ、お腹空いてるんだろ……」
「おうおう、さぁ約束通りソフトクリーム作らせてくれよぉ」
子どものように駄々をこねるシバ。厨房に行き長らく使っているソフトクリームマシーンに。
「ちょっとこれは表のソフトクリームマシーンよりも方が大事で加減が必要……」
李仁が一つ作る。綺麗に長く形が良い。そして作ったら一口ガブリ。
「おいおい、俺に食べさせろって」
「なら作りなさいよ。じゃあ、次はミナくん」
シバは俺じゃないのか? という顔をしている。湊音は以前失敗しており不安そうな顔をしていた。コーンを持ってレバーを引く。
最初のうちはゆっくりいい感じ。
「そうそう、ミナくん上手じゃん」
そう李仁が褒めると湊音は嬉しくなってフフッと笑った瞬間、
「李仁ぉっ、なんかレバー調整できない!!!!」
とめどなく出てくるソフトクリームに混乱する湊音。李仁も湊音のコーンを持ちレバーを力強く戻しつつ機械を止めてうまく高く巻き上げ落とすこともなかった。
「さすが、李仁……ちょっと大きくなっちゃったね、あっ……垂れてきた」
持っている湊音の手にソフトクリームが。それを李仁が舐める。湊音もソフトクリームのてっぺんから口に含む。ペロペロと二人持ったまま食べていく、時たま目が合いながら笑い合う。
「こらっ、そこ! いちゃつくな」
ジュリが咳払いをする。
「溶けちゃうよーしょうがないじゃん、あっ……早く早くぅ」
二人は話を聞いちゃいない。
シバがしびれを切らしてコーンを取り出し
「くそぉ、俺も早く作る!」
「やめなさいよ、多分あんたはうまくいかないしレバー故障してるって」
ジュリの静止も聞かず作り始めた。
最初は普通に出てくる。
「子供用と同じじゃねぇかって……!!! うおおおおおおっ!!!」
やはり制御が効かない。力の強いシバでさえもレバーが戻らない。
「違う、シバっ! こっちにレバーをっ」
ジュリもコーンを持ちレバーを戻す。……が、シバはそのままジュリにコーンを渡した。
「あとジュリ頼むわ」
「ばかぁああああああっ!!!!」
シバに渡されたジュリは一人でなんとか巻き上げ落とさずに済んだがソフトクリームは溶け始めて床に垂れた。
見事湊音たちよりも長いソフトクリームができた。シバは上からガブッと食べた。
「ひやぁーウッメぇなァ。ジュリさすがぁ、センキュー」
とジュリが睨みつけているのにもかかわらず無心に食べ続ける。
それを見ていた湊音と李仁は食べ終わった。唇や手についたソフトクリームを舐め合い、もうラブラブ。
「ジュリ、俺等も二人みたいにソフトクリームちゅっちゅしよ」
とシバがいうと
「このバカ!!!」
とジュリに怒られて口にソフトクリームを入れ込まれたのは言うまでもなかった。
ところでこのソフトクリームマシーンだが他の場所でも不具合が置きたらしく、企業から自主回収の連絡があり、新しく導入した子供用のソフトクリームマシーンが祭り後に厨房に導入されたという。
終わり
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