第17話 石山寺に到着!
「みーなくんっ、ミナくーん」
李仁は寝ている湊音の頬を叩く。軽く。
3、4回くらいで湊音はハッとして目が覚めた。
「はぅ、着いた?」
見慣れぬところにここはどこかわからないが、外の景色の多くが紫式部やら大河ドラマなどの文言が書かれた旗が靡いており場所が石山寺だとわかった湊音。
「ごめん、寝ちゃった」
「大丈夫、寝る前に寝るね、って予告してたし……ふぁああっ」
李仁もあくびする。
「ちょいと寝るわ。三十分くらい」
「ううん、三十分、1時間でも良いから……寝てて。て、もう一時過ぎてる。お腹空いてない?」
「食い気よりも眠気です。起きたら昼にしましょう。それかお腹空いてたら先に食べててもいいよ」
と李仁はそそくさと椅子を倒して寝てしまった。湊音は李仁にブランケットを掛けて車から降りるとピッとロック音が聞こえた。
と同時に涼しい車内から蒸し暑い車外の熱気にうわっと声をあげてしまった湊音。一気に目が覚めフラフラっと近くのお土産屋さんに入るがまだ生ぬるい。
いろんなお土産が並ぶ中、あまりパッとしない中に滋賀出身のアーティスト西川貴教氏のプロデュースしたお菓子に湊音は笑ったが一緒に横で笑う人がいないため少し恥ずかしくなった。
と同時にお腹から音が鳴り体は正直だとお土産屋さんの奥に進むと食堂がある。
湯葉に蕎麦……天ぷらなど滋賀のご当地なものが多い。
「いらっしゃいませ、空いてる席どうぞー」
「あ、はい……」
声かけられてしまい奥にある店員さんが手を挙げている時点で身を引けなくなっま湊音だが李仁が先に食べててと言っていたのを思い出して食べることにした。
窓際の1人席。
他は夫婦や家族連ればかりだ。そして何を食べようか悩むがなんとなく一番に目についたのが湯葉。
湯葉丼というのがあるらしい。湊音は店員を呼び注文した。
しかし頼んでから後悔する。なぜに今、暑い暑いと店内に入ったのに湯葉という熱いものをチョイスしてしまったのかと。
後ろの夫婦は2人してそばを頼んでいた。
待つ間もジュリから送られてきたシバの写真を見て李仁がいないことをいいことに拡大して眺める。
それを見てほっこりする湊音の後ろからすぐ店員がやってきた。
慌ててスマホの電源を切った。
「はい、湯葉丼ですー」
案の定湯気がだくだくの湯葉丼が目の前に。
後ろでは夫婦が冷たい蕎麦を食べながら暑い日にはこれに限る! とうなってるのを聴きながら湊音は汗だくにして熱々の湯葉丼をあっという間に平らげる。それほどお腹が空いていたようだ。
「うんめぇ」
とついに声が出る。李仁と2人で旅行に来たのだが共感してくれる人が居ずに1人で食べるのは少し寂しかった湊音。
「席ご一緒していいかしら」
と声をかけられ湊音はハッと振り向くと李仁がいた。少し眠気まなこだが。店員さんに水をもらって蕎麦をすぐ頼んだ李仁。
湊音の食べてる湯葉丼を見て
「あら、暑いのにこんな熱々なのを」
と言いながら湊音の口元を拭いてやる。
「寂しかった?」
「……うん」
「もう回復したから食べたら石山寺行きましょう」
「うん」
やっぱ李仁と一緒が一番な湊音であった。
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