第10話 シバとジュリ
一時間後。
ホテルの近くのバーに向かう。シバとジュリの到着を待つ。
夕方もじっとり暑いが風はある。
「おまたせー」
聞き慣れた声がした方を二人は振り返る。
「シバ……ジュリ!!!」
「やっほー」
久しぶりに見るシバに湊音はすごく笑顔である。が、それよりも驚いたのは髪の毛の長かったジュリがバッサリとショートにしていたことであった。
「髪ばっさりいったね」
「シバも切るっていうから私も一緒に切ってもらったわ。もちろん、來くんにー。今年の夏は異常に暑いからね」
「何をしてもジュリは似合うわ」
「ありがと、うれしいわ」
ショートにしてもメイクバッチリで大きなイヤリングが揺れていてノースリーブのセクシーなエキゾチックな柄はジュリらしい。
そんなジュリはシバに寄り添う。シバも前にあったときよりも痩せており、髪の毛もさっぱりしている。
今は休暇中か前みたいにヒゲを生やし、湊音を見てニコッと笑うシバ。そこに割り込んでジュリが席に案内する。
バーカウンターといくつかの机、ダーツもある。人も賑わい、お酒と美味しそうな料理の匂い。
「いらっしゃい」
カウンターの中にいる店主を見た李仁は声を上げて駆け寄る。
「清水くんじゃない、久しぶりー!」
「おうおう、李仁ーっ。シバが呼んだからって楽しみにしてたよ」
「もう15年くらい? すっかり店主さんじゃない、実家に帰って店だすって聞いてたけど滋賀だったんだぁ」
「そうだ。もう結構長くやってるぞ。お前も店出したことは風の噂で……」
賑やかなバーの中での突然の再会に李仁は頬を赤らめているのを湊音は横で見ていた。
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