1日目

第4話 レッツゴー滋賀

 その日は晴れ。先週は大荒れだったのが嘘のようであった。その悪天候で旅行の数日前に湊音は体調を崩していたが取り戻したようだ。


「天気になってホッとしたわ」

「うん! 晴れ男の李仁のおかげ」

「そうかしら。よし、じゃー途中SA寄らずにぶっ飛ばせば8時半には彦根に着くわね」

 2人は荷物を積み、李仁が車を運転する。


 2人が車をすすめたその時に電話が。李仁の電話にかかってきたが湊音が出た。


 そのわけは、表示に

「冬月シバ」

 の名前が出たからだ。


 『ういっすー』

 チャラい声で上機嫌なシバの声。

「シバーういっすー」

『その声は李仁じゃないな!』

「うん。李仁は横にいるよ」

 と湊音は楽しそうに話を始める。

 冬月シバという男は湊音と李仁の共通の友人である。

 元警察官で湊音とは高校剣道部で指導員を一緒に勤め、今は警察学校の教員である。

 地元よりも遠い場所での勤務のためなかなか最近は会うことがなかった。


「どうしたの?」

 横で李仁が車のスピーカーで音声を聞こえるように設定を変更した。


『おうおう、夏休みもらってなー。今ジュリと京都1泊目なんよ』

 車内にシバの声が響くと李仁はなぜか笑い、シバに返事をする。


「てことはジュリもいるわけ? そこに」

『おう、今横で運転してる』

『やっほー、元気ー?』

 ジュリの声も聞こえてきた。ジュリはシバのパートナーである。

 生まれは男性であるが女性の格好をしているため2人とも李仁と湊音と同じくパートナー協定を結んだカップルである。


「なんとか元気ー。しかも今から2人で滋賀に行くの」

『えーーー!』

 電話先の2人が声を合わせて驚いているようだ。


『まじかよ、今日は滋賀行く予定だったんだよ!』

「えーーー!」

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