第3話 いつも通りの夜

 その日の夜。


 2人はベッドの上で激しく交わる。何度もキスをし、抱き合い……今夜は湊音の方が欲情的だった。そんな彼を見てさらに興奮する李仁。互いを思い、時に自分本位になり動く。


 そして李仁の上で果てる湊音。もう何度目だろうか。カウントできないほど愛し合う。グッタリとした2人は何もかも考えなられなくなるほど頭が白くなり天井を見つめ少し時間が経ち李仁の方から湊音の体を引き寄せる。 



 湊音は休職したものの、家ではゆったりと過ごしてやれる家事をし、李仁の仕事の帰りを待ち出迎える。


 ご飯は先に食べる時も多いが一緒にまったりして過ごす時間は大切にしている。


 湊音が休職する事は過去にもあったことであり、仕事をしないだけで普通の生活はしている。こうして激しくセックスもする。

 周りからは普通に見えてもそうではない、これ以上また酷くならないように過ごしているだけだ。


 休職のきっかけは過去のショックな出来事(子供の頃の母の自死の目撃)がふとしたきっかけでいろんな感情と共に混ざり合ってしまったのだろうと。これも何度目でもあるが歳を重ねるに連れて治ったかと思えばそうでもない。脆くなりつつもある。


 それと市役所職員を辞めて李仁の店を手伝うようになり生活リズムを崩したのも原因のようだった。高校教師、市役所職員として子供食堂を運営、飲食店の店員……それぞれ内容も生活リズムも違う。

 今はなにもしない、それが一番の選択であろうとの判断になった。


 李仁に尽くし甘えるのが湊音のためにもなる。正直それも危ういと思いつつも……。


「李仁、旅行楽しみ」

「わたしもよ、ミナくん」

 甘えてくる湊音を抱きしめ李仁は今度は湊音をベッドの方に倒して沈む。


 こうして何度かの夜を超え旅行の日もあっという間にやってきた。

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