第4話 あっという間の別れと初めての街
スライムを
「やっぱり今日中には辿り着けそうにないか…」
結局、異世界転送の記念すべき初日は野宿をするハメになった。俺は魔物や野生動物に怯えながら日が登るのを待った。
(モイカの提案でスライムに見張り番をさせていたが、実際に襲われていればあの貧弱なスライム1匹では…)
そして日が登ると、十分な睡眠も取れぬままに再び歩き始めた。
そして日が頭の真上に来る頃にはようやく、街を囲う外壁まで辿り着いた。
「すげぇ、一体何メートルあるんだこの壁!まるで進撃の○人の世界に来たみたいだ」
いよいよ異世界に来た実感が湧いてきてテンションが上がった。
【何ですか、その…進撃のなんたらとは】
モイカに例えの意味を尋ねられた。
「いや、向こうの世界の漫画の話だよ。そういや女神とかモイカがいるような天界には漫画ってあんの?」
答えると共に俺も質問をしたが、その答えが返ってくることはなかった。
(なんか気に触ったのか?それともくだらな過ぎたか?)
とても高く造られた壁の外には、それまた深い
そんな
を見つけた。橋の上には他にも街に入ろうとする人達が見えた。
あれを渡ったら遂に、街へと辿り着ける…!
橋を渡り、大きな荷を引く牛車に続いて街の門をくぐろうとしたとき— 横に立つ衛兵に声をかけられた。
「おいそこの君、そいつは街には連れて入れないぞ」
「え?」
そう言って衛兵が指を指したのは俺の連れているスライムだ。
「いや、こいつは俺が
「いや、俺もそいつくらいなら大丈夫だと思うんだが決まり事でな…」
衛兵によると、昔とあるドラゴンテイマーが街中でドラゴンを解き放ってしまい大暴れした結果、街が半壊したらしい。
それからこの国では、街に魔物や"強力な生物"は許可なく連れて入れないようになったそうだ。
「そうか、う〜ん…」
どうしたものかと考えていたその時、モイカが言葉を発した(当然モイカの声は衛兵には聞こえていない)。
【お困りのようですね。"エクスキューション"とスライムに向かってお唱えください】
エクスキューション?どういう意味か分からないがとりあえずやってみるか。
タクミは軽い気持ちでスライムに手をかざすと、モイカに教えられた言葉を唱えた。
『
途端にパァーッと白い光にスライムが包まれ、「グギギィィィッ」と
そして次の瞬間には、手の中に赤く透き通った石ころを残して跡形もなくスライムは消え去った。
え、俺の記念すべき初テイムスライムが死んだ?
【はい。『
この一連の様子を横で確認した衛兵は「よ、よし!立ち入りを許可する」と言葉を発して道を開けた。
えぇ〜、、、衛兵さんもドン引いてるし…モイカさんはやる前にもっと説明してよ〜
動揺しながらも門をくぐったそこには異国情緒が溢れる圧巻の街並みが広がっていた。
石畳の通り沿いには赤やオレンジの屋根が特徴的なレンガ造りの家々が立ち並び、遠くから教会の鐘の音が響き渡る。
通りには多くの人々が行き交っており大変な活気で満ちていた。
はぁ、色々あったけど—ようやく街についた…!
ひとまず安堵したところで自分の手に残された"モノ"についてモイカに尋ねてみる。
「スライムから出てきたこの赤い石は何なんだ?」
モイカによると"魔石“と呼ばれる魔力の結晶だそうだ。魔物の体内で魔力の
第四話 完
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