3.怨墨と〈竜骨の化石〉
6.墨狩り
――アキツシマ連合王国、〈
丑三つ時(午前二時半)という、真夜中。高層ビルの建ちならぶ、〈
その、一本奥まった路地裏の塀のそばを、ふらり、ふらりと、ゆれながら歩いて通りすぎる、あやしげな人影が、ひとつあった。
真っ白だ。暗闇のなか、かがやくほどに真っ白な服を着た人が、ゆっくりと歩いてゆく。
それは、メガネをかけていた。髪型は短い茶髪だ。ふらり、ふらり、と歩いていたのが、ふいに立ちどまる。そして、その場で両手を高く、もちあげた。
すると、ある家の窓から、しゅるり、と、黒い
それに続くようにして、同じような
「ああ、今夜も、たくさんだ」
満足そうに、メガネの奥の顔が笑った。しかし次の瞬間、その表情が、真顔に代わる。
白い服の人の前に、ひとつの人影が立っていた。
男性だった。こちらは反対に、真っ黒な服を着ている。髪も長くてまっすぐで、つやつやしていて真っ黒だ。キャスケット帽子を目深にかぶり、その顔には、白い紙製のお面をつけている。お面に描かれた顔は落書きみたいだ。身長は、低くもなく、高くもなかった。
その人も、両手を、もちあげた。手には、白い紙を折って作った、大きな三角形のものが、にぎられている。その人は「
「やあ、こんばんは。
反対に、
「
「うふふふふふふふふふふふ」
ばあん‼ と、巨大な音とともに、白い三角形の折り紙がふくろ状に広がる! そして、そのなかに
しかし、放たれた墨は、そのふたつだけでは、とらえきれなかった。あとからたくさん湧きだしてくる。
戦いは、十分ほど続いただろうか。最後の墨がとらえられたあとに、
ライターでは、ダメなのだ。
三角形の燃やされた白い煙と、燃えカスのわずかな灰が、風とともに、夜空へ舞いあがる。それらが全て、消えさったころには、その場から、
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