#5
数日後。
「初めに抱いた感情は『怒り』だったことでしょう」
「何故、自分はこんな理不尽で辛い目に合わなければならないのか、と」
「このイカれた女はぶっ殺してやる!ぐらいの事は思っていたことでしょう」
「しかしながら怒りというのは継続させて持ち続けるのは難しいものです。それが空腹に苛まれ生命の危機を感じる状況ならば尚更」
「お腹がすいた。喉が渇いた。辛い。苦しい」
「助けて、助けて、助けて」
「ご主人様」
「もう手錠も、足枷も、猿轡も、外していますよ?」
「おやおや」
「そうですか」
「もう自分ではまともに動くことすら出来なくなってしまいましたか」
「お可哀想に」
「まっ!こんな風にした犯人は私なんですけどね!てへぺろっ!」
「さて」
「もう限界でしょう」
「ここまでよく我慢しましたね。偉いです。そんなとっても偉いご主人様にご褒美の時間です」
「お食事にしましょうか」
「究極のその先の真の究極に美味しい料理を振舞って上げましょう」
「まずはお水です」
「ちょっとづつ、ゆっくりと飲ませてあげますね」
ングッ、ングッ、ングッ……。
「んちゅッ…………。んッ…………。んッ…………」
「ぷはっ…………」
「……どうです?メイドちゃんブレンドのお水は」
「乾ききった身体に染み渡っていきますね」
「美味しいでしょう?」
「続けますね」
ングッ、ングッ、ングッ……。
「んじゅぅ…………。んッ…………。ぐぢゅッ…………」
「んぱっ…………」
「はぁ……はぁ……」
「こんなものじゃ、まだまだ飲み足りませんね」
「ご主人様の気が済むまで」
「飲ませてあげます」
ングッ、ングッ、ングッ……。
「ちゅぢッ…………。じゅるっ…………。ずぞっ…………」
「じゅずッ…………」
「ふふふっ」
「美味しい」
「こうして何度も繰り返して」
「刷り込んでいるんです」
「こうすることで渇きが潤う」
「繰り返して、繰り返して」
「頭ではなく身体に教えこんでいるんですよ」
「こうすることで生きられる」
「いいえ」
「こうしないと生きられない」
「これがないと生きられない」
「アナタはこれがないと生きられない」
「ほら、もう一度」
ングッ、ングッ、ングッ……。
「んちゅ……。んッ……。んんっ…………」
「じゅるりッ…………」
「ほら」
「生き返りますね」
「美味しいですね」
「気持ちイイですね」
「もっともっと」
「欲しくなっちゃいますね」
「いいですよ」
「アナタが望むなら何度だってしてあげます」
「欲しいんですね」
「これがもっと欲しいんですね」
「これがないとダメなんですね」
「もうこれ無しじゃ生きていけませんね」
「私が居ないとアナタは生きていけませんね」
「そうです」
「そうなんです」
「アナタは」
「私が」
「居ないと」
「生きられない」
「死んでしまいます」
「私が」
「居ないと」
「アナタは」
「死んでしまいます」
「死にたくなんかない」
「生きていたい」
「生きたい」
「生きる為に」
「必要なモノは?」
「私です」
「アナタが」
「生きる為に」
「必要なモノは」
「私です」
「アナタが生きる為には私が必要です」
「私無しでは生きられません」
「でも」
「勘違いしないで下さいね」
「私が」
「アナタと」
「一緒に居て上げてるんですよ」
「私が」
「アナタを」
「生かしてあげてるんですよ」
「アナタは私無しでは生きられない」
「そんなアナタに」
「私が一緒に居て」
「あげている」
「そのことをちゃんと理解出来ましたか?」
「理解出来ましたね?」
「さあ」
「ご主人様」
「私に」
「何をしてもらいたいですか?」
「ご主人様が望むことは私が全て叶えてあげましょう」
「したいことも全部させてあげましょう」
「ヤリたいことも全部ヤラせてあげましょう」
「私の全てはアナタのモノです」
「そして」
「アナタの全ては私のモノです」
…………。
…………。
…………。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「本日のお勤めもご苦労様でした」
「お食事の準備は出来ていますし、お風呂の準備もしてあります。あと私も準備万端です!」
「お食事にします?お風呂にします?」
「それとも私にします?」
「オススメとしてはお風呂でお食事に私を召し上がるのがよろしいかと」
「どう致しますか?」
「キャッ……」
「もう…………」
「ご主人様ったら強引なんですから……」
「ホントに、もう」
「ご主人様は」
「私のことが」
「大しゅきですね♡」
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