第113話 変わらぬ想いとオーバーキル②

 クリスマス間近の代々木公園。

 イルミネーションを楽しむカップルが大勢いて、すぐ近くをその人たちが通り過ぎてゆく。


「なっ、何、言ってんの……?」

「別にそんな驚くことじゃねーだろ」

「お、……驚くよ」


 だって、私たちは6年前に……。


「いい機会だから言わせて貰うけど」

「……」

「お前、思い違いしてるかんな」

「……へ?」

「言っとくけど、俺は別れたつもりはねーし、別れるつもりも微塵もねーから」

「っ……」

「例え、桃子が俺と別れたくてしたことだとしても、それをすんなりと受け入れるつもりもねーから」

「っっ」

「あ、それと」

「……」

「散々俺をその気にさせといて、目の前から消えたらそれで俺の気持ちがなくなるとか、ありえねぇっつーの」

「っっ」


 あぁ、私はまた同じ過ちを繰り返してる。

 自分のことしか考えられなくて、匠刀の気持ちを蔑ろにしてしまった。

 昔も今も、私は何一つ変わってないのかもしれない。


「この6年、1日だって忘れたことねーし。いつかまた会えると信じてたし」

「……」

「今日、6年ぶりに桃子見て、再認識した」

「……?」

「今でも好きだし、前よりもっと好きになってる」

「っっ」

「一目会いたい。会ったら会ったで声が聴きたい。声を聴いたら聴いたで抱きしめたくなったし。こうして抱きしめたら、当然ちゅーしたくなんだろ」

「っっ~~っ」

「桃子は違うのかよ。……俺のこと、ずっと好きだったくせに」

「っっっっっ」


 真央が余計なこというから。

 言い訳も言い逃れもできそうにない。


 だって、匠刀の腕の中は。

 世界中で一番安心できる場所だって分かってるもん。

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