第94話 新たな出会いと自分磨き⑨
***
17歳のお誕生日、おめでとう
お祝いがこんな形になってごめんね
初めて会った頃から
ずっと変わらず私のそばにいてくれたのに
私は匠刀の優しさに気付くのに
10年もかかってしまったよね
私がたくさんわがまま言って甘えたように
匠刀もいっぱいわがまま言って甘えて欲しかった
匠刀が私に寄り添ってしてくれたように
私も誰かの支えになりたい
そう思えるようになったの
虎太くんや雫さんみたいに
夢に向かってキラキラと輝いているように
匠刀にも、素敵な夢を見つけて欲しい
私からのプレゼントもう見つかってるかな?
いつの日か、私が匠刀と離れたことを後悔するくらい
もっともっと素敵な男性になってね
***
絵ハガキにびっしりと小さな文字で埋め尽くすように書かれた手紙。
あのクリスマスデートの時に、僅か5分ほどで書いたとは思えない内容だ。
読むまで、恐怖と不安で押し潰されそうだったのに。
何故か今は、清々しいくらいの心境に至ってる。
『私からのプレゼント』
この言葉が何を意味しているのか、分からない。
手紙とは別に、何かを送って寄こしたのだろうか?
けれど、その後の『見つかってるかな?』という言葉が引っかかる。
―――どこかに隠してあるってこと?
親や兄貴に託してあるなら、『見つかってるかな?』にはならない。
だとすると……。
どこかに、桃子からのプレゼントがある!!
どこだ。
どこにあるんだ。
俺は血眼になって、自分の部屋の中を漁り始めた。
「おいっ、匠刀!何してんだよっ」
ベッドや机やチェストでさえ動かして探しているから。
物音に驚いた兄貴が部屋に乗り込んで来た。
「うっせーなっ、邪魔すんなっ」
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