第67話 クリスマスデートと1カット⑦


 こういうお節介な女、マジで要らねぇ。

 同じクラスだったからって、俺を知った気でいる。


「2人が幼馴染だってのも知ってるし、付き合ってるのも知ってるけど」

「……」

「それと、高校で勉強するのとは違うんじゃない?」

「はぁ?」

「津田くんの頭なら、T大だって現役合格もできると思うし、絶対将来のためにも、2年次のクラスは特進に変更した方がいいよっ」


 あぁ、そういうことか。

 コイツが桃子に言ったことって、俺のことだったってわけね。


「それに仲村さんって、心臓が悪いんでしょ?」

「あ゛?」

「昔から仲村さんの世話で津田くん大変だって、みんな言ってるもん」

「みんなって、誰と誰?どこのどいつ?そいつらの名前教えろよ」


 桃子を拉致っただけでも怒りが治まらねーのに。

 このクソ女、桃子の病気のことを口にしやがった。

 しかも、何?

 俺がいつ大変そうにしてたよっ!!

 大変なのも辛いのも、桃子が俺の傍にいない時だっつーの!!


「空手だけでも大変なのに勉強も頑張ってるんだから、振り回されないで済む人を彼女「てめぇに、俺や桃子の何がわかんだよッ!!」

「え……」

「俺がいつお前に空手が大変だって言った?」

「っ……」

「物心ついた時からやってるけど、大変だなんて思ったことは1度もねーよっ」

「……」

「それに、勉強を頑張ってんのは俺がしたいからしてるだけで、他人にとやかく言われる謂れねぇ」


 人の人生にとやかく言っていいのは、迷惑をかけた相手だけだ。

 この女に俺の人生を指図される覚えはねぇ。

 っつーか、どんだけ上から目線なんだよっ!

 同じ年なのに、完全に桃子を蔑んでんじゃねーかっ!


「言っとくけど、桃子に振り回されてるだなんて思ったこと1度もねーよ。俺が好きであいつの傍にいるし。俺が大学に行きたいって、お前に言ったか?」

「……」

「留学するかもしんねーし、芸能界に入ってるかもしんねーだろ。知ったような口聞くんじゃねーよッ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る