第66話 クリスマスデートと1カット⑥

(匠刀視点)※少しだけ遡ります


 クリスマスの数日前の昼休み。

 星川が前日に送って来た写メに映っていたのは、総合特進コースに通う1年で、相田あいだ 知佳ちか

 中学部の時に、3年間俺と同じクラスだった女だ。

 俺は相田が在籍しているクラスのドアに手を掛け、中を見回す。

 

「相田いる?……いた。ちょっといいか?」

「ッ?!津田くん!」


 中学3年間同じクラスだったとはいえ、笑顔で会話する仲じゃねぇだろ。

 なんか嬉しそうに駆け寄ってくるそいつを、俺はイラっとしながら教室から連れ出した。

 普段は使わない外階段へと出た俺は、もじもじする女を見下ろし口を開く。


「俺が来た理由、分かる?」

「……ん」

「じゃあ、言わせて貰うけど。お前、桃子に何言ったんだよ」


 呼び出した時のトーンとは違い、完全に怒りに満ちた声音で問い詰める。

 普段の俺からは無い、あからさまな憤怒した態度を悟ったのか。

 一歩後退りした。


 結局、桃子は星川に一言も言わなかったらしい。

 明らかに精神的にショックを受けているのを分かってても。

 意外と意地っ張りな性格だから、簡単に心の内を打ち明けたりしない。

 だから、聞くならコイツを問い詰めた方が手っ取り早いと思ったんだ。


「俺は女だからって、容赦しねーぞ」

「……っ」


 首を傾げて指の関節をポキポキと鳴らし、威嚇する。

 暫く視線を泳がせていた相田は、両手を握りしめて口を開いた。


「津田くんが中学部の時に凄く勉強頑張ってたのを知ってるし、内部進学するなら当然スポーツ特進だと思ってたのに。何で普通科なの?それも特進じゃなくて理系だなんて…」

「は?……お前に関係ねーじゃん」

「そうかもだけど、勿体ないじゃないっ」

「だから、俺が何をしようが、お前に関係ねーっつってんだろ」

「っ……、仲村さんのせいでしょ?」

「あ゛?」

「仲村さんが理系だから、だから理系にしたんでしょ?」

「お前、人の話聞いてねーだろ」

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