親探しの吸血鬼娘 チノ(ボス編)
下水道を出た先。
そこには、大きな河川があった。
ザラザラザラザラザラザラドゥボオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!
「戦った場所が川じゃなくてよかったわ。もし戦っていたら、あたし達は全滅してたわね! 」
「怖かったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
荒れ狂う川は、路地花達に厄災の名を持つ雨の魔法少女のアミ想像させた。
しかし、チノはすでに気持ちを切り替えている。
「クンクンクンクン…………アルゴ様、路地花様。あたしについ来てください! 」
「うん! 」
カンッカン……ガララカンッ…………カンッカカッンガラガラカランッ!
カンッカンッガランッ!
三人はリズムよく小石を踏みながら、川沿いを歩いて上流を目指した。
一時間後。
路地花達は、木々がが集まる滝壺の周辺に来た。
長く歩いたからか、路地花はヘトヘトである。
「はぁ…………はぁ…………はぁ…………はぁ………………まだ、会えないの? 」
「誰に会いたいんですか、路地花さん……と言いたい所ですが、もう着きましたよ! 」
「ううん? 」
路地花は、チノが指差す方向を見た。
そこには、焚き火をしている女剣士がいる。
その女剣士は、体中猫塗れの姿で、後ろに大剣があった。
「うにゅう? にゃあみにゃぁにゃあにゃあ! 」
「ジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ! 」
「ううん? よそ者を見つけたのか? 安心しろ、病猫街道跡の番人ニユがあんた達を守ってやる! 」
キュッ……シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーー…………
「そこのパーティー! 」
「ううん? 」
「ううん?? 」
「あたしは、病猫街道跡の番人ニユ。どこのパーティーか知らないが、あたしと勝負しろ! 」
「どうやらここのダンジョンのボスのようね。路地花、チノ行くわよ! 」
「はい! 」
「うん! 」
病猫街道跡のボスニユとのバトルが始まった。
最初に動いたのは、路地花。
路地花は肩掛けのワンショルダーバッグを振り回し、ニユの方へ走って行った。
「ブラックジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァク! 」
すると、ニユは、右肩のハチワレ猫を路地花に見せる。
「レベル10家猫の嫉妬」
「ミアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……」
「う…………うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………」
路地花は、猫の凝視を見て思わず両手で目を押さえた。
グルグルグルン……ブルブルブルン……
二十回ほど頭を回した路地花は、両手を退ける。
そこには、アルゴの姿があった。
「あるどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
「え?! あたしが何かしたの? 」
「何で、雨の魔法少女の時、あたしを戦わせなかったのおぉぉぉっ! 」
「だって、彼女は、厄災の名を持つ魔法少女よ。人間が勝てる相手じゃないわ! 」
「あたしだって、魔法少女を倒したことがあるんだから戦わせてよ! 」
「仕方ないわね。あたしも、アミと同じ魔法少女よ。戦えなかった悔しさをあたしに打つけなさい! 」
「うーん。死んでも知らないよ。うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
路地花は、思いっ切りアルゴに殴りかかった。
しかし、上空にチノが大剣を持って待ち構えていた。
「チノ、今よ! 」
「てりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
路地花は、大剣よって小石の上に打っ倒れた。
「あー……チノ、少しやり過ぎじゃない? 」
「安心してください! 」
キイイインッ!
チノは、自分の大剣の真ん中を指差した。
「我の大剣は、下の持ち手の上の持ち手があります。上の持ち手には刃がないので、刀の峰打ちと同じことが出来るんですよ」
「うーん。何か、あなたの大剣は峰と言うより、音叉に似ているわね! 」
「音叉打ち…………いい必殺技ですね」
チノは、目線をニユに向けた。
あまりにも会話が長いからだろうか。
大剣を左下に構えている。
「レベル8エアーブーメラン! 」
シュポォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!
「レベル10鶏と林檎! 」
「とうっ! 」
ビュン! ビュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!
アルゴとチノは、風のブーメランを回避。
アルゴは、後ろの木と位置を入れ替え。
チノは、空中に逃げた。
「もう一度、レベル10鶏と林檎! 」
ポフッ!
アルゴは、反撃のためにコップに魔法をかけた。
しかし、コップはコップのままだ。
「同意こと? ううん? え?! 」
アルゴは、頭を上げた。
何と、紫の風ブーメランがアルゴを襲ってきたのだ。
「レベル10リベンジャーブーメラン! 」
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン。
アルゴ危うし…………と、思ったその時。
シュルシュルシュルシュルドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!
「ふうぅぅぅぅぅぅ………崖滑り楽しい! 」
「な、何をふざけたことを! これは、遊びじゃないよ! 」
「それよりさぁ、後ろを見なさいよ! 」
「ううん? 」
「レベル15ホムンクルスの流血召喚! 」
ジュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………
ジュボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ…………
後ろ向いたニユ。
アルゴに気をとられている間に、チノが魔法を使っていたのだ。
それにより、チノは、全裸の黒猫男の召喚に成功した。
「お願い黒猫男! 」
「レベル10
ピターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!
「う、うう、剣が重い…………」
「いたたたたたたたあぁぁぁぁぁぁ…………」
ニユが動かなくなっている間に、路地花は頭をさすりながら立ち上がる。
「路地花様、今です! 」
「あ、ああ! 」
グルングルングルングルングルングルングルングルングルングルングルングルン…………
路地花は、肩掛けのワンショルダーバッグを何回も振り回した。
そして、ニユの頭目掛けて一気に振り下ろす。
「ブラックジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァクッ! 」
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
ドタアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!
ニユはブラックジャックの一撃を喰らって気絶。
路地花達は、ニユを倒すのに成功した。
「ううん……やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
「最後に活躍で出来てよかったね! 」
「お疲れ様、路地花様! 」
「うん! 」
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