親探しの吸血鬼娘 チノ(グルメ編)

「にやあぁぁぁぁぁ~~ん! 」

「みぃぃぃぃぃぃぃ~~! 」

「みゃんみゃんみゃぁぁ~~! 」

 仔猫達が次と女剣士から離れた。

 そして、現れたのは、茶色いショートヘアーをした全裸の爆乳娘。

 どうやら、仔猫達憑依してモンスターになっていたらしい。

「う~~~~~ん…………おお、いたのか吸血娘! 」

「ええ? ニユ様。我を存じているのですか? 」

「名前は覚えていないよ。二年ぐらいに会ったことを思い出しただけ」

「二年ぐらいに? …………そんな覚えは…………ありました! 」

「え? チノ、女剣士に会ったことあるの? 」

「はい、路地花様。我は、雨の魔法少女アミを下水道に封印した後、ニユ様に会いました。その頃から、全裸でしたよ」

「服とか鎧を盗まれてしまったから、全裸で生活していたよ。今はもう慣れているけれどな」

「全裸で生活していたのは、それが理由ですか? 」

「それもある。しかし、あたしが全裸で生活しているは、別の理由なんだ」

「別の理由? 」

「ああ。あたしは、水浴びの時に服と鎧を盗まれた。それの少し後に、仔猫の姿をした化け物にあたしに取り憑いたんだ。しかも、仔猫達は、あたしが全裸でないと憑依できないらしい。だから、あたしは全裸で生活している」

「おおお!! 」

「寂しがり屋の仔猫達を思った行動なんですね」

「とにかく、あたしは、あの吸血娘に負けたんだ。罰として焼き芋をおごろう! 」

「やゃたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」 

 

 パーティーの開催が決まって三十分後。

 路地花達は、焼き芋出来るまで川遊びをしていた。

「おりゃ! 」

 ジャバーーーン!

「おりゃ! 」

 ドュバーーーン!

「魚がとれないよ! 」

 ピュゥゥゥゥゥン! ピシャァァァァァァァァァン! ピチピチピチピチ!

「一気に三十匹も? 魔法を使うなんてズルよ! 」

「だって、魔法少女だもの! 」

 シュパンッ!ギンッ!

「ええ? 」

「我は、素手で魚が捕れますよ! 」

「チノ、すごい! 水辺でも余裕だね! 」

「路地花様,褒めるところが違いますよ! 」

「あたしは、余裕よ! レベル8テクニカルベクトル! 」

「焼き芋出来たよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 」

「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!! 」

「ニャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン! ニャニャニャニャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン! 」

 仔猫と路地花達は、一斉にニユの所へ集まった。

 焼き芋パーティーの始まりだ!

「ひゃあむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむ……」

「ひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむひゃむ……」

「ほおっくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふく……」

「ふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふくふく……」

「ゴクン………………うーん…………」

「うーん…………」

「うーん。ホックリとした硬い食感と川のほろ苦さ。かつての病猫街道を思い出します」

「でしょう! 実は、この涙猫芋は野生のサツマイモなんだ」

「え? あたしの世界では、サツマイモは畑で獲れるよ! 」

「あんたは、異世界人か。異世界人には、改めて説明するよ。ここ邪神の国では、ねっとりしたサツマイモは畑で獲れるもの。ホクホクしたサツマイモは、野生とされている。この世界ではホクホクしたサツマイモの方が珍しいんだ」

「へー。『天ぷらにする』と言う発想も珍しいのかなぁ? 」

「天ぷら? 食べたことないな。どう言うものだ? 」

「食べたらわかるよ。吉祥寺に戻る前に作ってあげる? 」

「あ、ありがとう! では、涙猫芋の魔方陣を渡す」

「ありがとう! 」

 路地花は、ニユからもらった魔方陣をアルゴのバッグに入れた。

「これでよしっと。そう言えば、ニユどうして、あたしの魔法を防げたの? あなたは、スライムではないでしょう? 」

「あたしは、仔猫の化け物によって不老不死になっている。魔法であってもチェーソーであっても殺すことは出来ない」

「仔猫さんの力はすごいわね! 」

「ああ! 」

 三人を話が終わった後、黒猫男がニユの前にやって来た。

「ゴクン…………おかわりくれ! 」

「あるかなぁ? 」

 ニユは、ガサゴソと焚き火を掻き回した。

 そして、残り一個の焼き芋を見つける。

「あったよ! どうぞ! 」

「ありがとう! 」

 ボフッ!

「ううん? あっ! 」

 黒猫男に焼き芋を渡したニユ。

 彼女は、あることを思いついた。

「吸血娘! この黒猫男と三人でここに暮らさないか? 」

「ええ? 」

「今のチノは、大人だろ! 一緒に生活しないか? 」

「一緒に………………」

 チノは、少し考えた。

 チノは、親を探す吸血鬼。

 しかし、親を探していたのは二年前の話。

 今のチノは、もう大人の体なのだ。

「わかりました。ここで暮らしましょう! 」

「あ、ありがとう! 」


 翌日。

 路地花は、ギルドで報酬の78000Gをもらった。

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