異世界人好きのプーカ娘 アツ(ボス編)

 狐耳神社を出て一時間。

 路地花達が星空のしたを歩いていると、遠くから愉快な音が流れてきた。

 ポンポン♪ポーポポポン♪ポポーンポポンポンポポン♪

「なんだか楽しい音楽ね! 」

「アツのギターのセッションにピッタリね」

「早く背中のギターを出てよ! 」

 スーーーーーーーーーーーーーーーーン……………………

「え? 」

 路地花とアルゴが右を向いた。

 何と、アツが姿を消したのである。

 すると、向こうから走る音が聞こえた。

 ポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッポカラッ……ブルーン!

「あ、あぁぁ、あそこに黒い馬に変身したアツがいる! 」

「追いかけましょう! 」

「うん! 」

 路地花とアルゴは、アツを追いかけた。

 しかし、アツは車のように早い。

「見失ちゃったぁ…………」

「山道を歩きましょう…………」


 一方、アツは狸耳寺のしげみの後ろにいた。

 ポンポンポポン♪ポーンポーン♪

 彼女の目前にいるのは、尼と白い和服と茶色いショートヘアーをした狸娘の親子。

 どうやら、愉快な音の正体はこれのようだ。

「腹鼓楽しいね」

「ああ…………ううん? おお! アツ! そこにいたのか! 」

「ええ? バレた? さすが、抱次郎、恩後郎! 」

 隠れていることがバレたアツは、抱次郎達がいる石畳にやって来た。

 そして、背中のギターを両手で持って石畳に座る。

「準備は、整ったなぁ」

 バサーーーーーーン!

 抱次郎は白い和服を脱いで全裸になった。

 そして、盃の大きなおっぱいを近づける。

「レベル10げんこつミルク! 」

 プシュゥゥゥゥ…………クルクルクルン…………ドゥプンッ!

「おお…………」

 抱次郎の吹き出した母乳が、縦回転をして盃に入った。

 そしてそれを、抱次郎が口に近づける。

「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……プフアァァァァ…………美味え…………」

 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

「おお傷ついたお腹が癒えるわ………………」

 抱次郎は魔法のミルクの力でお腹がミルミル治った。

 抱次郎準備が出来たようだ。

「じゃあ、始めるかぁ! 」

「うん! 」

 アツと抱次郎の音楽バトルが始まった。

 音楽バトルのルールは、すでにアツが決めている。

 アツは、音楽バトルのルールを説明した。

「あたしののメロディーを十二回真似できたら、抱次郎の勝ちだ行くぞ! 」

「おー! 」

「レベル12秘境酒場の冒険歌! 」

「レベル9月夜の宴! 」

 ポンポンポンポンポンポン♪

 ザンッザンッザンッザンッザンッザン♪

「ルーララルーララルルル♪」

「る~ららる~ららルルル♪」

(うーん…………)

 リズムを意識している抱次郎だが、少し前半の音程がズレている。

(ふうん…………)

 アツは、多めに見て音楽バトルを続けた。

「フールーララルールン♪」

「ふぅ~る~ララルーるん♪」

(うーん………………)

 アツは、ここでも大目に見た。

「今度は、もっと長くなるよ! 」

「五拍子でも八拍子でドンとこい! 」

「言ったなあぁ! 」

 ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン!

 ザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザンッザン!

「ルールルララルーラフ♪ブラールルーラルルル♪フラールルールールールフー♪ 」

「るーらルルルるるるる? らーふーるる? ラーラーフーウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」

 ザンッ!

 とうとう呆れたアツ。

 ギターの演奏をやめて、抱次郎を責め始めた。

「はい、アウト! さっきから、歌下手すぎ! 」

「すまん………………腹鼓は得意だが歌は苦手でな…………」

 シュッ!

「ううん? 」

 抱次郎は、土下座してアツに頼みごとをした。

「お願いだ! あたしに歌を教えてくれ! 」

「おかん………………」

「うーん………………」

 抱次郎を心配そうに見つめる恩後郎。

 優しくしてやりたいところ。

 しかし、アツの考えは厳しかった。

「ごめん。あたしは一年以内にここを出ちゃうんだ。それに、あたしの歌は独学。誰に教わったわけでもないよ! 」

「そんなぁ……………いや、独学でいけるならあたしも独学やってみる! 」

「うん! そのいきだ、抱次郎! 」

 すると、後ろの石段からガンガンと言う音がしてきた。

「おーい! おーい! 」

「こっちにいたのね、アツ! 」

「おー! アルゴ、路地花! 」

「勝手に行くから心配したよ! 」

「ごめんごめん! 早く、抱次郎に会いたかったからね! 」

「夜が深くなりましたね。夕食にしましょう! 」

「うん!!!!! 」

 路地花達と抱次郎の親子は、尼が向かう宿坊へ行った。


 

 



 

 

 

 

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