異世界人好きのプーカ娘 アツ(グルメ編)

 灯籠が照らす宿坊の中。

 正方形のテーブルの周りに路地花達がいた。

 路地花達は、夕食の囲みうどんを食べている。

 みんな配られた揚げ玉とお揚げのめんつゆ。

 それを片手に大きい蒸籠にのったうどんをすすっている。

「ズズズッズッズッズッズッズズッ! ズズズッズッズッズッ! ズズズッズッズッズズッズズッズズズズッ! ズズズッ! ズズッズズッズズズズズズッ! ズズズッズズズッズッズッ! ズズッ……ムクムグゴクン…………………ムグムグムグムグムグムグムグムグムグムグ………………ゴクン……………おー、お茶渋みがつゆ塩味と混ざって美味い。それに、お揚げをしみててさらに美味い」

 ガタンッ!

「麺料理が楽器になったよ! 」

「おー! 」

「ううん? 」

「アツったら、立ち上がるほど美味しかったのね」

「プーカらしい例えです! 」

「うーん…………」

「どうしました? 路地花さん? 」

「あのう、尼さん。このつゆのお茶。旨味より渋みが強いね。屍鳥海賊港町とは違う」

「よくぞ、ごしてってるなぁ! 」

「抱次郎? 」

「実は、このお茶は、あたしが作っているんだ。あたしはよりお茶の風味を知ってもらうために屍鳥海賊港町の茶葉を渋めに改良しているんだ」

「得意なのは腹鼓だけではないんだな」

「ああ! 」

 アツにやっと褒められた抱次郎。

 もっと褒められたいところ。

 しかし、うどんはまだ半分ぐらい残っている。

「はぁ………………」

「早く食べないとなぁ…………」

「ああ………………」

 アツと抱次郎はゆっくりと座布団に座った。 

 そして、うどんのセッションが今開かれた。

「ズズズッズズッズッズッ! 」

「ズズズッズズッズッズッ!!!!! 」

「ズッズッズズズズズズッ! 」

「ズッズッズズズズズズッ!!!!! 」

「ズッズッズズッズズッ! 」

「ズッズッズズッズズッ!!!!! 」

 リズムよく、食べる六人。

 蒸籠にあったうどんは、もう無くなっていた。

「ズズッズズッハグハグゴクンッ! 」

「ズズッズズッハグハグゴクンッ!!!!! 」

「ハグハグハグハググウゴクンッ! 」

「ハグハグハグハググウゴクンッ!!!!! 」

「ジュルジュルゴクンッ…………フー! 」

「ジュルジュルゴクンッ…………フー!!!!! 」

「ゴクゴクゴクゴクズズッ……プフアァァァァ…………! 」

「ゴクゴクゴクゴクズズッ……プフアァァァァ…………!!!!! 」

「ごちそうさま! 」

「ごちそうさま!!!!! 」

 うどんを完食した六人。

 まるで、アツが指揮を執っているかのようだった。

「おー…………何だか知らないけれど、音楽を演奏しているみたいだったね! 」

「何だかそうなっちゃった」

「あたしも! 」

「あたしも! 」

「うちも! 」

「路地花も、アルゴも、抱次郎も、恩後郎もつられすぎ。自分のペースで食べてよ! 」

「ごめん、ごめん!!!! 」


 翌日。

 宿坊に泊まった路地花達は、狐狸茶の茶葉を送る魔法陣をもらった。

 そして、同じ日のお昼頃、路地花はギルドで報酬70000Gをもらった。


 

 

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