異世界人好きのプーカ娘 アツ(魔法少女編)

「ふう、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん………………」

 ガラスの棺から魔法少女が現れた。

 その魔法少女は、狐耳と九本のモフモフ尻尾、金のロングヘアーと爆乳、彼岸花のようなドレスと管狐のマフラーをしている。

 路地花が狐耳の魔法少女に質問する。

「あなた、誰なの? 」

「おお、御一行か。わっちの名は九尾の魔法少女タマコ。この神社の守り神じゃ」

「神社って、ここ東堂だよ! 」

「え、そうなのか? 封印されている間に移動しとったか」

 路地花のツッコミに応じたタマコ。

 知らないうちに東堂に移動したことに始めて気づいた。

「よおしっ! ここは、化け比べで遊ぼう! そこの魔法少女! 」

「え、あたし? いや、変身魔法は使えないから! 」

「あたしがやるよ! 」

「お主は、誰じゃ? 」

「あたしは、アツ。変身魔法を得意とする魔物、プーカの一人だよ! 」

「おお、使えるのか。では、手合わせ願おう! 」

「うん! 」

 アツとタマコの化け比べが始まった。

「先行は、譲るよ。あたしなら余裕だからね! 」

「なめおってからに、ええもの見せてやる! 」

 タマコは、管狐のマフラーをクルリと回転させた。

「レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

 タマコは、白い煙共に姿を変えた。

 褐色島の勇者バアンだ。

 黒いサロペットから褐色肌まで、見事にそっくりである。

「あたしも出来るよ。レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツも変身した。

 タマコと同じくバアンである。

 黒いサロペットから褐色肌までそっくりだ。

「なかなかやるなぁ。次行くぞ! レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

 タマコはまた変身した。

 今度は、豪雪妻山の守り神紅乱。

 赤い帽子と白い和服と白い翼。

 見事にそっくりである。

「まだまだ出来るよ! レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツもまた変身した。

 同じく紅乱である。

 赤い帽子と白い和服と白い翼。

 全て、そっくりだ。

「まだまだ行くぞ! レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

 タマコは、次に屍鳥海賊を倒した英雄ジャスになった。

 セーラー服と白い翼。

 見事にそっくりである。

「まだまだ行けるよ! レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツも同じくジャスになった。

 セーラー服から白い翼まで、全てそっくりだ。

「おお、まだまだ! レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

 タマコは、次にカミラの下級女神アベクになった。

 赤いショートヘアーと白いドレスと白い輪っか。

 見事にそっくりである。

「おお、やるねぇ。けれど、まだまだ行けるよ! レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツも同じくアベクになった。

 赤いショートヘアーと白いドレスと白い輪っか。

 全てそっくりである。

 すると、タマコの表情が曇りだした。

「おお…………残すとこ四回か…………」

「どうしたの、タマコ? 」

「おお、なんでもない! レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ…………………

 タマコは、化け比べを続けた。

 今度は、カミラの下級女神エクワイズ。

 青いショートヘアーと黒いドレスと黒い輪っか。

 見事にそっくりである。

(なんだか、怪しいことを言ってたなぁ。とにかく続けよう)

「レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツも化け比べを続けた。

 タマコと同じくエクワイズだ。

 青いショートヘアーと黒いドレスと黒い輪っか、全てそっくりである。

(あと、三回…………そうじゃ! )

「レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

「ええ? 」

 タマコが次に変身したのは、アルゴ。

 うさ耳のベレー帽とうさ耳ヘアー灰色のブレザー。

 見事にそっくりだ。

「すっごい上手ね! 」

 真似された本人も褒めるほどである。

「仕方ないな…………レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツもアルゴに変身した。

 アツも、ベレー帽と髪型とブレザーをそっくり真似している。

「アツもなかなかやるわね! 」

 これまた、本人からの高評価を得た。

(残り二回か…………よし…………)

「レベル9九尾の化け術! 」

 ボフンッ……………………

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 」

 タマコは、次に路地花に変身した。

 うさ耳ヘアーとブレザーとスラックス。

 見事にそっくりだ。

「アツゥ! アツゥ! アツもやってやって! 」

「うーん…………仕方ないなぁ…………レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 アツも路地花に変身した。

 髪型から服まで全てそっくりだ。

(とうとう、残り一回か…………ううん…………)

 タマコは、魔法使うのをやめた。

 そして、アツに条件を言い渡す。

「ルールを変えよう! 」

「わっちが変身出来るレパートリーは後一回じゃ。もし、変身魔法を二回使えればアツの勝利としよう! 」

「ううん? うん、解った! 」

 アツは、最後に変身魔法を二回使うことにした。

「レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

「ミヤォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ! 」

 一回目は、黒猫。

「レベル10黒馬の化け術! 」

 ボフンッ!

 ポテッ!

 最後に、変身したのは黒い蜘蛛。

「うん、アツの勝利じゃ! 」

「うーん。あたしの時方がよかったよぉぉぉぉぉっ! 」

「あたしもぉ…………」

 見事、狐耳と魔法少女を倒したアツ。

 しかし、最後相応し無い変身を見た路地花とアルゴは、ムッとした表情を浮かべた。

 最後くらいは、もっとすごい変身を観たかった二人である。

「さぁ、最後は、狸耳寺だよ! 行こう! 」

「ううん? うん…………」

「次は、もっとすごい変身してよ! 」

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