病み母の熊娘 サイクマ(パズル編)

 つるぼっこを倒した路地花達。

 三人は、雪のような紙くずをかき分けていった。

 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ……

 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ…………

「あ、あれは? 」

 路地花は、投票用紙があるテーブルの上に、一枚のポスターを見つけた。

 そこには、マス目がいっぱい書かれている。

「この、マトリクス表のような紙は、何なのかしら? 」

「路地花。それは、議員の投票結果だと思うけれど、説明文が無いわね」

 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ……

「ううん? 」

 アルゴは、後ろを向いた。

 そこには、溺れている人のような手の中に、一枚の紙が握りしめてある。

 しかし、アルゴは、紙くずの下にいるのが誰かをすでに知っていた。

「ありがとう、サイクマ! 」

「どういたしまして…………」


 吸血鬼の県知事選の投票結果のルール


 一番上は立候補した議員、一番左は投票者(匿名)、右下は投票したポイントを表す。

 ポイントは、1、2、3、4、5。

 ポイントを集計する。

 その中で、もっとも多い議員の名前を投票用紙に書け。



 表


   【ツダル】【コミミ】【プウロ】【カルル】【ミカゲ】

A      5   4    3    1    2

B     4    2    3    5    1

C     1    3    4    5    2

D     5    2    3    4 1

E     1    2    3    4    5

F     1    5    2    3    4

G     4 1    5    3    2


「うーん……」

「うーん……」

 路地花とアルゴは、説明書とポスターを交互に見る。

 すると、サイクマが雪のような紙くずから姿を現した。

 ザバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!

「僕、解るよ! 答え全部位置だよ。だって毛玉は何個くっつけても一個だもん! 」

「うん」

「あー」

 ダンジョン内は、魔法無しで時間が止まる。

 そして、その時間は、十秒ぐらいで起動した。

「サイクマ。それは、とんちなら正解よ。けれど、これはパズルなの」

「あたしとアルゴは、ちゃんとゆっくり計算して解いているの。議員の名前を書くところだけは、やらせるからじっと待ってて」

「うーん…………」

 協力し合っているアルゴと路地花は、まるでデートのように仲良く話し合っている。

 サイクマとっては、チェーソーで切り離したいくらい羨ましかったのだ。

「僕に縁を切る魔法があったらな。チェーソーじゃ縁は切れないよ」

「よし、サイクマさん。■■■の名前を書いて」

「もう解けたんだね。計算、早いな」

「こんなの、小学生でも解けるレベルだよ」

 サイクマは投票用紙に、■■■の名前を書いた。

 すると、紙くずがザワザワと音を立て始める。

 バサーン! バサーン!

「ううん?! 」

「ううん?? 」

 ガバッ! カバッ!

 そして、魔法少女らしきものが二人姿を現したである。

 


 

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