重絆のブラックドッグ娘 ゲイド(ザコ敵編)

 お昼過ぎ。

 路地花達は、馬車で一時間と徒歩で四時間かけて豪雪妻山にやって来た。

 そこは、六月なのに足取られそうな白い雪山。

 その人間すら通れない豪雪地帯の奥の、青く光る洞窟を路地花達が歩いていた。

 ペンッ! ポコンッ! ペンッペンッ!

「アルゴ。ここまで来たら、雪の音すらしないね」

「うん。路地花」

「そう言えば、ゲイドさん達は、新しい魔法を使えるじゃないの? 神殺しの実のペペロンチーノサンドを食べたでしょ? 」

「ああ、その件ですね」

 ゲイドが言う『その件』とは、路地花がギルドマスターから聞いた話である。

 魔法が使えるモンスター達は、宝糧を食べると強力な魔法を手に入れる。

 その効果は、調理法によって色々と変わるのだ。

「まだ、戦ってみないとわかりませんね」

「ゲイド姉様、早く戦いたいです! 」

「そうですね、ゼイドさん」

「そう言えば、ゲイドお姉さん」

「どうしましたか、デイドさん? 」

「この洞窟、中だと言うに雪が降っています」

「確かに、デイドお姉さん! わたくしも気づいてました」

「しかし、ベイドお姉様。雪は、積もってませんよ! 」

「確かに! 」

 と、その時。

「レベル5ベクトルシュート! 」

「レベル5ベクトルシュートォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ! 」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 」

 ビュンッ! ビュビュビュンッ! ビュビュビュビュビュンッ!

「うわぁっ! 」

 突然、白い雪玉が路地花達を襲ってきたのだ。

「うわっうわっうわっうわっうわっうわっううわっうわっうわっうわっうわっうわっ! 」

 路地花は、タップダンスをするかのように雪玉を避け続ける。

 その隙に、ゲイド達五人姉妹は新しい魔法を使った。

「レベル8…………」

「黒妖犬熔鉱炉! 」

「ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン! 」

 ザボンッ! ザボザボンッ!ザボザボザボンッ! ザボンッ! ザボザボ! ザボンッ!

 ザボザボザボザボンッ! ザボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

「オレ達は、ベクトルスノーボール…………」

「こんな、マグマのような体にやられるなんてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」

「覚えてろよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

 不意打ちで攻撃してきたベクトルスノーボールは、ゲイド達五人姉妹の熔鉱炉の体によって溶かされた。

「大丈夫ですか?、路地花様? 」

「あ、ありがとうみんなぁ! 」

「さぁ、先へ進みましょう! 」

「うん! 」

 第一関門をクリアした路地花達は、次の階へ向かった。



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