第3話



 「こっちこっち」

 ピエロ娘は、三月ウサギよろしく、敏捷な感じにオレを先導して、不思議な外観の”お店”まで連れてきてくれた。


 『Man's heaven』という看板に、温泉マークが書いてあった。


 オレは英語でも多少読めるから、「男の天国」という意味なのは分かった。なんだか、童話の「お菓子の家」?を連想させるようなデザインのデコレーションだった。


 が、包丁研ぎの鬼婆ではなく、お夜伽してくれる美女が中では待っていてくれるのだろうな…そう思うとすごくファンタジックな、甘い夢の国の家?のように見えるのだった。


 なにしろドーテーだから、動悸動悸惑惑して、心臓が飛び出そうなほどに興奮して、緊張して発汗もしていた。


 「まあリラックスしてね。最初は誰でも未経験者だから」

 ピエロ娘は当たり前のことを言って、「天国」に入っていった。


 …とどのつまり、少し薄暗い待合室で、オレは処刑を待つ囚人のような心境で、パンフレット?メニュー?を眺める羽目となり、目移りするくらいたくさんの美女の写真が並んでいる中から究極のチョイスを迫られた。


「年齢とBWHは書いてるけど…あまり信用できないわね。ウフッ。どの子がいい?」

 「あの…お姉さんはどういう関係の人ですか?もしかしてお姉さんでもいいの?」

 「ワタシ?」ピエロは目を丸くした。白塗りしているけどすごく整った目鼻立ちで、プロポーションも抜群で、ソソられる女性だった。

 「脱いでもスゴイ?」のか、できれば確認してみたい!

 さっきから、一応そういう選択肢がありうるかどうか、オレは確認しようと思っていたのだ。


<続く>

  

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