第47話 襲撃
冒険者ギルドから路地を二つ越えた筋に古物商が並ぶ通りがある。
花音とアルカートは探索時よりもラフな町人風の装いで通りにある店を一軒ずつ覗いていく。
古道具が並ぶ中に古い時代の魔道具などが埋もれていたりするので、花音は夢中で色々な店を覗いている。
古い時代の魔道具は新しい技術に取って代わられたものもあれば、技術が追いつかず廃れてしまったものや出回った先が限定的過ぎて広がらなかったもの、中にはそれ自体が不明瞭なものまで様々だ。
魔道具以外にも様々な本やよくわからない品が並ぶのを花音は楽しそうに見ている。
「こういうのも偶には楽しいね」
「そうだな」
時折、人波にぶつかりそうになるとアルカートが手際よくフォローに入る。
それでも時間経過と共に人が増えてくると歩きにくさに加えて逸れそうになる。
花音は少し考える風にしてアルカートの腕に抱きつく様に腕を絡めた。
「これなら逸れないよね」
にっこりと笑って見上げる花音にアルカートが長い長い溜息を吐いた。
だが、確かに手を繋ぐだけでは不安があるしかと言って肩や腰に手を回すわけにはいかない。
花音の言う通り逸れないためにはこれが一番マシなのだろうと諦め半分に花音に引っ張られながら通りを歩いた。
目ぼしいものを買い集めると、商業区にあるカフェで一休みをし、浮島へ戻るために移動を始めた。
「浸けられてるな」
「やっぱり狙いは私かなぁ」
「俺を攫っても仕方がないだろ」
浮島へ上がるための施設に向かう手前の緑地公園に花音とアルカートは足を向ける、死角の少ない場所で足を止めると四方から黒いフードを被った何者かが飛び出してきた。
「シールド!」「カノン!下がれ」
魔獣との戦闘で慣れた一連の流れで襲撃者たちを迎撃する。
遠くからかけつけてきているのは麻里亜たちが付けている護衛だろう、その距離をアルカートがチラッと確認して花音に手を伸ばした黒いフードの一人の首筋を短剣で切り裂いた。
突然の荒事にまばらに居た一般人の悲鳴が響いた。
「チッ」
襲撃者の一人が舌打ちをして片手をあげ合図をすると、花音とアルカートを取り囲んでいた黒いフードの襲撃者たちが一斉に方々へ駆け出し散っていった。
漸く辿り着いた護衛の騎士に花音を託したアルカートは首筋を掻き切った黒いフードの何物かを担ぎ上げ、大公邸へ向かった。
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