第46話 予想外
三日間の学園祭が無事に終わり、休日が七日ほど入る。
学園祭の片付けなどは貴族も通う学園らしく、学園側が大半を担ってくれる。
代わりにこの七日間で目に付いた生徒などのスカウトが始まる。
当然斥候部門で優勝したアルカートに問い合わせが殺到したらしいのだが、アルカートが既にフィールド大公家で使用人として所属していると分かるとその波は一気に静かになった。
代わりに方々から問い合わせがあったのは論文の方で、壇上で矢面になったレジェロに問い合わせが集中しているらしいと遊びに来たグラツィオーソとカランドが笑いながら教えてくれた。
カランドはこのまま大公邸で風雅と新しい魔法式を作ることになっている。
学園での作業は今回の発表以降、方々から目を付けられ安心して研究が出来なくなてため、今後は大公邸に用意した別邸をグループワークの本拠地にすることになった。
花音とアルカートを風雅が呼び止めた。
「花音にそろそろちゃんと話しとかないとな」
風雅の言葉にアルカートね眉根が寄る。
「ん?何?」
「花音、俺とお前の立場ってわかってるか?」
風雅の言わんとすることが掴めず花音は首を傾げた。
「生きた伝説の勇者の子どもなんて、政治的に問題しかない」
「ああ」
漸く腑に落ちたと花音が頷く。
「国内も火種がないわけじゃあないんだが、どうもこの間の発表からこっち帝国の動きが怪しいんだ」
風雅のいつにない真剣な眼差しに花音も息を詰める。
「帝国の狙いが何かはわからない、それに国内の動きもある、暫くは窮屈だろうが王都から離れるのは避けて欲しい」
避けろとは言わない、風雅らしい言い回しだが花音が動き回るのはあまり得策ではないのだろう。
「国内は何なの?」
「国内も国内で面倒なんだ、ひとつは反王家の連中だな、こいつらは今母さんと父さんが手を回してるしレジェロも動いてくれてる、勇者を担ぎ上げたい勢力は最近聖国の神殿と連絡を取っているらしい、まあそっちは俺たちより父さんを引っ張りたいみたいだ、でだ、コイツらが問題なんだが花音をレジェロの嫁にって王家の過激派がな」
「え?嫌よ」
間髪入れない花音の答えにカランドが苦笑いをした。
「花音の意思を無視してコイツらの思い通りにはさせないけど、如何せん建前はレジェロのためひいては王家のためってんでレジェロも動きにくいみたいだ」
「で、一番厄介なのが帝国からの間者なんだが、まあ色々勉強してたらさうちが鼻持ちならないんだろうなってのはわかるんだよ、建前では獣人や亜人も平等にって言ってても実情は伴ってないからな、あの国」
「目の上のたんこぶってやつ?心の狭いことね」
「この間の事で目立ったのも原因だろうな、くだらないが安全が確認出来るまであまり派手に動かないでいてくれたら母さんが助かるってさ」
「わかった、アルそれなら今日は冒険者ギルドじゃなく下の街にある古物商の並びに行ってみよう」
「わかった、準備するからドルチェに着替えさせてもらって」
「はぁい」
花音は風雅との話を終えると、ドルチェに着替えを手伝ってもらいアルカートと共に浮島の下に広がる城下町へと繰り出した。
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