第10話 冒険者ギルド
早いもので入学から一カ月。
今日は各グループごとに冒険者ギルドで冒険者登録をすることになっている。
そのため学園へ登校ではなく、浮島から大地に降りるための飛行船発着場が集合場所になっている。
馬車から降りて集合場所に向かえば既に着いていたグラツィオーソとカランドが手を振る。
「おはよう」
朝の挨拶を交わし、順番に飛空艇に乗り込んでいく。
地上までゆっくり下降して三十分ほどで地上に着くと説明を受け、窓際に立って花音と風雅は初めて世界を目にした。
飛空艇の窓からは遠く続く大地に幾筋もの河、森に荒地に山脈が見える。
集落の近くには放牧された家畜がのんびりと歩き、遠く浮島が幾つも空に浮かぶ。
浮島の間を何台もの飛空艇が飛び交うのを花音と風雅は口を開けて見ていた。
三十分があっという間に過ぎて地上に着いたと飛空艇から降りる。
飛空艇の発着場がある場所からはトロッコ状の乗り物に乗り込み一駅。
冒険者ギルドのある建物に着いた。
既に話が通っているらしく、閑散とした受付カウンターにグループごと順番に並ぶ。
カウンターの中では長い耳の獣人女性が待っていて、前以て書いておいた申請書類を差し出すとカウンターの奥で何やら作業をしている。
花音たちは緊張しながらその様子を見ていたが、そう時間を置かずにカード状の冒険者証が手渡された。
「ランクは最初Fからとなっています、学園の魔法科の生徒さんですので初心者向けのレッスンはありません」
冒険者証に名前とランクが表示されているのを見ながら六人は顔を突き合わせるとワッと歓声をあげた。
「ほら、そこ!騒ぐな」
ゲネラルパウゼ先生が面倒くさそうに注意する。
花音たちは舌を出して冒険者ギルドを出ると先に登録を済ませたクラスメイトたちの元へ移動した。
一時間ほどで全員の登録が終わり、ゲネラル先生が先導するままに街外れの何もない原っぱに出た。
「これを見ろー」
そう言いながら手にしていた草を掲げる。
「よくある薬草だ、ポーションの元になったりするやつな、これをひとグループ五つ、探してくること、制限時間は二時間だ」
よーいどん!と掛け声をかけられると花音たちは薬草を探して原っぱを見る。
似たような草の中、最初に見つけたのはカランドだった。
次いでアルカートと花音が、風雅とグラツィオーソが見つけ、最後にドルチェが見つけた六つを持ってゲネラル先生に見せにいく。
「おーよしよし、良くやった、それを持って冒険者ギルドに行って薬草を提出してこい」
「はい」
言われた通りに冒険者ギルドに戻り、受付カウンターで冒険者証と薬草を差し出す。
「はい、初めての依頼完了です、おめでとう」
「わぁ、ありがとうございます」
ニコニコと笑顔で冒険者証を返されると実績の初級依頼に印がついている。
「この後は帰宅していいらしいし、発着場に向かいましょう」
グラツィオーソが指揮を取り、帰路についた。
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