第5話

 家に帰った俺は早々に家の中に水を通すざるのような物がないかを探していくが見つからない。


 「母さんに聞いた方が早いかな?」


 色んな場所を探しているが俺が思っているような物は見つけられていない。だからこそ分かるだろう母さんの元へと移動することにした。


 「母さん!聞きたいんだけど!」


 「なんだい?」


 畑仕事をしている母さんの元へと移動して小魚や小海老を取りたいから水を通して小魚や小海老は通さない物はないかと質問した。


 「なるほどね。家にはないよ。」


 「そうなんだ。」


 俺はない事にガッカリしてしまう。だが、母さんの話には続きがあった。


 「でも作ることは出来るよ。ちょっとこっちに来なさい。」


 「?、うん。」


 母さんに付いて行き、母さんはある植物を指差した。


 「それがどうしたの?」


 「この草を編んで籠を作るのさ。それで小魚や小海老を取れるよ。作り方を教えてあげるから、今日はこの草を一杯集めておいで。」


 「分かった!」


 漁師のようなジョブだけではなく、物作りに関係するジョブも獲得することが出来るかも知れない。


 母さんに農作業で使用する鎌や草を入れる籠を借りてから草刈りに出掛ける。


 午前、午後を使って夕方になるまで草刈りをした結果、かなりの量の草が集まった。


 そして夕食後に俺は母さんから草編みで籠の作り方を教わり始めた。もちろん母さんは俺だけじゃなくて兄さんたちにも教えようとしたが、兄さんたちはそんな事をするのは女の仕事なんだから俺たちはしないと言う返答だった。


 これに母さんは激怒するが、早々に兄さんたちは退散して怒っている母さんと宥める父さんに俺と言う状況になっている。


 それなら落ち着いた母さんに教えて貰いながら草を編んで行き、ようやく作れた草の籠は隙間だらけですぐに崩れちゃう使えない物が出来上がった。


 「これは繰り返しやって覚えることだね。私の時も最初はそうだったから気にしなくて良いよ、ショウ。」


 「うん。もっと頑張るよ!」


 「その調子だよ。あの子たちも覚えて置いて損はないのにね。はぁ、まったく。」


 そしてこの日から寝るまでの夜の間は草を編んで籠を作るのが日課になった。


 それからしばらくして草を編んで籠を作るのも慣れて来た頃にようやくこれはと言う物が出来上がった時に取得したのだろう。


 俺は新しいジョブである【見習い草細工士】というジョブを獲得した。


【見習い草細工士】

草素材を使った細工士に関するジョブスキルを得るジョブ

取得ジョブスキル

【草素材見極め(微)】【製作草細工品質上昇(微)】【体力上昇(微)】【器用さ上昇(微)】


【草素材見極め(微)】

草素材の状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ見極められるジョブスキル


【製作草細工品質上昇(微)】

製作した草細工の品質をほんの少しだけ上昇させるジョブスキル


 これで新しいジョブの獲得と、これからまた新しいジョブを獲得できると思うと顔がニヤけて来る。


 それ以外にもジョブスキルの熟練度が最大まで上がったジョブスキルもあり、これがそのジョブスキルだ。


見習い念動士

【★魔力上昇(微)】【★精神上昇(微)】【★器用さ上昇(微)】

学ぶ者1

【★体力上昇(微)】【★魔力上昇(微)】【★器用さ上昇(微)】


 これで見習い念動士も学ぶ者1も残り1つのジョブスキルの熟練度を上げればジョブを極められれる。


 【見習い念動士】の残りのジョブスキルは【念力系統出力強化(微)】だ。


 これは【念動力】で重たい物を動かそうとすれば上がると思って色々とやっているからその内にそれほど月日も経たずに熟練度が上がるだろう。


 【学ぶ者1】の方の残りのジョブスキルは【ジョブスキル熟練度上昇(微)】だけだ。


 【ジョブスキル熟練度上昇(微)】は他のジョブスキルの熟練度が上がれば上がるのではと思うが、ジョブスキルの熟練度が最大まで上がった個数で熟練度が上がるのかどちらかだと思う。


 でも出来れば熟練度最大個数で熟練度が貯まって最大になる方はどれだけの熟練度を貯めないといけないのか分からないから勘弁して欲しい。


 ステータスの確認を終えれば、俺はまだ1つしかない使えそうな草籠の数を増やす為に草で籠を編んで行った。


 翌日になると朝食後に俺は草籠を持って小川に向かった。


 「今日こそは取ってやるからな!」


 今回は小魚と小海老を獲るからと草籠以外にも獲物を入れる為の木の桶を2つ持って来ている。


 木の桶に小川から水を汲むと、俺は草籠を川下に流されないように石を工夫して置いて仕掛けた。


 上流へと移動した俺は小魚や小海老を追い立てるように小川の中をバシャバシャと音を立てて移動していく。


 「これくらいで良いかな?籠の中を見てみるかな。」


 草の籠の中に小魚や小海老が入っているのを期待して中のものを小川に落とさないように注意しながら木の桶に持っていく。


 ジャバッと木の桶に向かって水が少し溜まっていた草の籠から水が流れると、そこから小魚や小海老や他にも葉っぱなどのゴミが木の桶に入っていた。


 「ちゃんと獲れてる!!」


 小魚や小海老が木の桶の中を泳いでいる姿が見える。葉っぱなどのゴミを取り除いてからもう1つの木の桶に小海老を移し替えていった。


 そして何度か草の籠を使って小魚や小海老を獲って、日が傾き始めた頃には木の桶には2つとも小魚と小海老で一杯になっている。


 でも今回持って来ていた草の籠は3つとも使い物にならなくなってしまっていたが、今回の成果を考えれば問題ないほどだ。


 木の桶を重ねて家に帰ると母さんに木の桶を2つとも渡した。


 「結構獲れたのね。」


 「うん!一杯獲れた!」


 「夕食のおかずが増えるね。泥抜きは必要だから明日だね。」


 明日のおかずが増えるのは嬉しい。でも肝心の小魚や小海老の味が美味しいのか分からないのは不安だ。


 でも美味しかったら、また小川で小魚と小海老を獲りに行こうと思う。


 そして翌日の夕食に出された小魚と小海老が使われた料理は塩をかけただけの焼いた物だがおつまみ感覚でパクパクと食べられるくらいに美味しい味だった。


 両親だけでなく、兄たちも小魚や小海老を凄い勢いで食べていくせいで、かなりの数があった小魚と小海老はすぐに無くなってしまった。


 これならまた今度も獲りに行っても大丈夫だろう。頑張って漁師系のジョブを目指して頑張ろう。

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