第4話
転生して意識を取り戻してから1週間も経つが記憶が戻る前の今世の生活とそれほど変わらない。変わることと言ったら、ジョブスキルを意識的に鍛えているくらいだろう。
そんな生活をして過ごしているが、今日は新しいジョブが増えないか試している。
なんで外に出て家で【念動力】を使ってジョブスキルの熟練度を上げていないのか、それはここ1週間の間は農作業以外に家の外に出ていない事を心配されて両親から外で遊ぶように言われたからだ。
その時に兄たち2人に俺も連れて行くように言われた兄たちの後を付いていった。
「ショウじゃ、俺たちの遊びに付いて来られないからここで待ってろ。」
「そうだぞ、ショウ。今日は俺たち森に行くからな!そこに居ろよ。帰りに迎えに来るからよ。」
そう言って兄たち2人は自分たちの友達たちの元へと向かってしまった。
3歳児の子供が4以上歳上の子供に付いていけない事もあって途中で置いてからても仕方ないと思うが、こんな村からほんの少し離れた小川に放置するのはないだろう。
そんな事があったから俺は1人で新規ジョブの取得が出来ないかを試しているのだ。
「まずは石でも投げてみるかな。」
物を投げることに関係するジョブが取れないかを試しに確かめてみる。
今の俺の膝くらいの高さの水量の小川の川底にある石を何個か取ると、俺は小川の傍らに石を置いていく。
20個以上集まった石を手で掴むと、小川から少し距離のある場所に1本だけ生えている木に向かって石を投げた。
「この距離だと届かないんだ。」
思った以上に3歳児の力はそこまでない事が分かった。これは仕方ない。そう思った俺は石を持てるだけ持って木の生えている場所に移動する。
もちろん先ほど投げて木まで届かなかった石も回収して数回往復して、今の俺でも投げた石が命中する距離に石を置いた。
「うん、ここなら大丈夫だろう…………とりゃ!!」
2回目の投擲では石はコツンと木に命中する。投げた石が命中した事にこの距離なら大丈夫だと納得した俺は残りの石も木に向かって投げていく。
そうして木に集めた石を全て投げれば、今度は木の周りに落ちている石を【念動力】を誰かに見られてもバレないように使って集めて、また石を投げてを繰り返し行なっていると、辺りはオレンジ色に染まって夕方になっていた。
「迎えに来ないな?」
何かあったのかと心配するが、もしかしたら俺を置いて行ったことを忘れているのではないかとも思ってしまう。
「もう遅いし帰るか。」
これ以上待っていると日が完全に暮れて辺りは闇に包まれてしまう。そうなると村の近くだからと言って危ないからと俺は1人で帰ることにした。
「ただいま!」
「ショウ!何処に行っていたの!!」
帰宅して早々に母さんから怒鳴られてしまう。遅くなったのは確かだがここまで言わなくても良いだろうに。
「だって兄さんたちが迎えに来るって言うから待ってたんだ。それなのにいつまでも来ないから。」
言い訳ではないが本当のことを伝えると、怒りの矛先が俺から居間でくつろいでいる兄2人に向かう。
「どう言うことなの!?」
「ショウが逸れたんだぜ。俺たちだって探したんだ。」
「そうそうショウが悪いんだ。」
長兄のチャゴスが俺が逸れたと言い、その言い分に次兄のブルゴニーが賛同する。その物言いに反省の色は見えない。
と言うか探していたのならなんで今は家でこんなにくつろいでいるのかと言いたい。
だが、その言い分にキレた母さんの怒声に反応した父さんも兄たちの説教に参加すると、流石に反省して泣きべそをかきながら俺に誤って来て、これで今回のことはお終いになった。
家に篭ると兄たちに付いて行かないと行けなくなるからと、2日に1回のペースで外に出て投擲の練習をすることにした。
そうして2週間が過ぎた頃に新しいジョブの獲得とジョブスキルの熟練度が最大まで上がったジョブが現れた。それがこれだ。
【見習い投擲士】
投擲に関するジョブスキルを得るジョブ
取得ジョブスキル
【投擲威力上昇(微)】【投擲命中率上昇(微)】【体力上昇(微)】【筋力上昇(微)】【器用さ上昇(微)】
【投擲威力上昇(微)】
投擲の威力を5%上昇させるジョブスキル
【投擲命中率上昇(微)】
投擲の命中率を5%上昇させるジョブスキル
これが石を投げる日々の成果である【見習い投擲士】だ。2週間も取得に掛かったが、実質外に出て投擲の練習をしたのは2日に1回なので1週間で新しくジョブが出たのだから早い方だと思う。
そしてもう一つの成果がこれだ。【★念力系統操作力・制御力強化(微)】が熟練度を最大まで上げられた。
周囲にバレないように派手なことをしないで繊細に【念動力】を使っていたからこその成果なのかも知れない。
これで【見習い念動士】のジョブを極める第一歩を進めた気がする。
これも【学ぶ者1】のジョブスキル【ジョブスキル熟練度上昇(微)】の効果なのだろうが、俺の努力の成果の方が多いだろうと自賛することにした。
「ああ、でも次はどうするかな。」
ただ木に石を投げることで得られるジョブはもうないだろう。それ以外の方法で新しいジョブに就けるようにしたいが思い浮かばない。
とりあえず石を木の根元に纏めた俺は小川
に移動した。思い付かないので小川の流れでも見て過ごしていると、小川を泳いでいる魚や小海老の姿が見えた。
「これだ!!」
俺が古川を見て思い浮かんだのは漁師だ。この小川を泳いでいる小魚や小海老を獲れば新しいジョブに就けるかも知れない。
小川から小魚や小海老を獲る方法を考えないといけないが、新しいジョブを得られるかも知れないとテンションの上がった俺は手掴みで獲れないか試してみた。
「逃げるな!こら!あっ、逃げられた。」
思ったよりも小魚も小海老も動きが素早いせいで何度も挑戦しているが逃げられてしまう。
もう少し大きさがあったのなら、ここまで小魚や小海老にも逃げられないのにと、あと少しのところで逃げられるのは凄く悔しい。
「道具が必要だな。」
水を通せるざるがあれば、ざるを仕掛けた場所に小魚や小海老を追い込んで獲ることが出来るかも知れない。
そこは試してみないと分からないが次の目標が決まった俺は早速家に帰ることにした。
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