第7話 昨日の事なんだけど
翌日の朝のこと。
普段と変わり映えのない空気感が教室には漂っていたものの、侑吾の気分はいつもとは異なっていた。
それは昨日、生徒会長の梓先輩と放課後に付き合ったからだ。
高校生になってから放課後に異性と遊ぶこと自体が初めての経験であり、新鮮な気持ちで過ごす事が出来たのである。
意外と楽しかったな。
そんな
侑吾は教室の窓近くの自身の席から、その光景を眺めていた。
学校に登校する際、校門で侑吾も先輩と遭遇したわけだが、その時の梓先輩の雰囲気は昨日の放課後とは全然違っていた。
普段通りに真面目で責任感のある表情をしており、パンケーキを食べ合いっこした際に見せていた恥じらいのある顔ではなかった。
でも、自分しか知らない先輩の一面を知れた事で、何か得した気分である。
侑吾は教室の窓から視線を離し、自身のスマホへ視線を向かわせた。
スマホを片手にネット検索していると、周りからクラスメイトの声が聞こえてくるのだが、侑吾と先輩に関する話題は上がってこなかった。
た、多分、バレていないよな……。
昨日は比較的人が少ない場所を先輩と共に行動していたのだ。
それに喫茶店だって街中から少し離れたところを利用していたのである。
バレるはずがないと思う。
「おはよ」
そんな中、侑吾の元に隣の席の
侑吾は普段通りに何となく返事を返すのだが、彼女の表情はいつもと違っていた。
咲奈は侑吾の顔をまじまじと見つめてきているのだ。
なんだろうと思っていると、彼女が近づいて来て表情を変えずに侑吾の耳元で――
「昨日、上野先輩と一緒に歩いていなかった?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます