第2話 急展開な誘いの意味とは

 ……え、ど、どういうこと、だ……⁉


 生徒会長のあずさ先輩と二人っきりの今。その急展開に侑吾ゆうごは、ここで何が生じているのか、自身の脳内での処理が追い付いていなかった。


 そもそも、真面目でクールな先輩が、どうしてそんな誘いをしてきたのだろうか。


 先輩ならば異性からも人気があって、普通に恋人がいそうなイメージがあったからである。


「ねえ、聞いてる?」

「は、はいッ」


 侑吾は突然の事態に、裏声になっていた。

 変に恥ずかしい。


「まあ、一先ず、あっちのソファに座ってくれない?」


 生徒会長の梓先輩から誘導されるがまま、向き合うように設置されたソファへと向かう。

 二人は向き合うように、そこに座る。


「えっと……一緒に過ごすというのは?」

「簡単な話。私と付き合ってほしいってことよ、な、何度も言わせないで」


 恥じらいを持った話し方をしている梓先輩は自身の黒髪を弄り、視線を侑吾の方には向けてくれなかった。


「で、ですが、先輩には付き合っている人がいそうな気がしますけど」

「そんな事はないわ。むしろ……私、一度も付き合ったことないし」

「え?」


 侑吾は目を見開き驚いた声を出すと、先輩は視線をまた逸らす。


「だ、だから、本当に付き合ったことがないの、人生で一度も」

「そ、そうなんですか……意外ですね」

「……」


 梓先輩は恥ずかしさ堪えた表情で、侑吾の事を睨むように見つめていた。


「で、でも、どうして俺となんですか?」

「嫌なの?」

「い、いいえ、そんな事は」


 侑吾は焦って返答する。


「本音で言うとね、私ね。今まで勉強ばかりで、ずっと異性と付き合う事なんてなかったの。それに今年は大学の受験だから。記念程度でもいいから恋人みたいに付き合ってみたかったの。ただ、それだけの事よ。そんなに深く考える必要性はないわ。それで、もう一度聞くけど。私と付き合ってくれるの? どうなの?」


 先輩からの必死な想いを前に、侑吾はただ無言で緊張したまま、彼女の勢いに圧倒されて頷くのだった。

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