第157話 オジさん騎士は、爆発炎上する 3-6



 

 周囲の気温が瞬時に跳ね上がり、途轍もない熱風が夜を昼に替えて吹き荒れる。


 同時に爆音を伴う衝撃波が大気のハンマーとなって、タンクを支える鉄骨の支柱を枯れ枝のように吹き飛ばし、製油所そのものまで激しく鳴動めいどうさせた。



「C4を残しといて正解だったな。

 このレベルのブラック企業なら、爆破しても合法っしょ」



 しー......ふぉー?


 またも飛び出したオジの知らない単語を、口の中で転がしてしまう。


 けど、炎の柱は巨大な塔のようにそびえて天をめ尽くし、濃密な黒煙が夜空を覆って星を隠していた。



 そこへ三階建ての家屋にも匹敵する巨大タンクが燃えながら天から降ってきて、大地に激突してひしゃげる。


 どれほどの高度まで打ち上げられていたのか、そのタイムラグに震える思いがした。



 目の前の出来事は、どれも到底現実とは思えない。

 でも、これだけは間違いなかった。



「ゆ、夢ではないっ」


「やっと目ぇ覚めた、オジ?」



 たとえ夢の中でもこんな轟音が鳴り響いたら、即効で跳ね起きるに決まっていた。


 未だ収まらぬ爆風の余韻よいんに、少女は長い髪を手で押さえている。


 だいだいに染まる頬は、普段の彼女が感じさせない熱い情熱をはらんでおり、口元には柔らかく弧がえがかれていた。



「……帰ってきたのですか、JK」


「ん? こんなとこが実家のはずはないんだけど、うん。

 確かにそんな気分だ」



 看守たちが緊急事態を知らせるラッパを吹き鳴らし、叩き起こされる羽目になった捕虜や魔物たちまでにわかに騒ぎ始める。



 おそらく、これほどの無茶苦茶を実行へ移せるJKに恐怖を感じる者もいるだろう。


 過去には、仲間と思えなくなった者もいたかもしれない。



 けど、JKは帰ってきてくれたのだ。


 終わりの見えない停滞の日々を力づくでこじ開け、絶望の底に堆積たいせきしてきたありとあらゆるストレスをあざやかに吹き飛ばしてくれた。



 JKは、オジの元に帰ってきてくれたのだ。



「いい加減しっかりめに反撃しとかないと、あたしもおなかがいちゃうよ」



 いよいよ施設の防衛についていた看守や魔女たちまで集まってきて、地上にも上階の欄干らんかんにも、ずらりと並んでふたりを取り囲んだ。



 けどオジはまだ、戦火に輝く少女をながめていた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



さあさあ、皆様がた!

この辺りでまた、我ら吟遊詩人にを頂戴したく存じます



引き続き一座のもよおしをご覧いただけるならば、

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もちろん☆ひとつでも、☆☆ふたつでも、大変嬉しく思いますよ



皆様のお心ざし次第では

かたたる吟遊詩人の歌声にも、いっそう熱が入ろうというもの!


よろしいですかな?



それでは紳士淑女の皆様がた!


ついに騎士と少女は再会を果たし、ド派手に反撃の狼煙のろしを上げました

「黒きオアシスの死の虜囚りょしゅう」編も、いよいよ佳境かきょう


JK狙撃手の怒りの反撃に、ご刮目かつもく! ご刮目かつもく



ここでお席を立つのはしゅうございますぞ?



ではまた、ごゆるりとお楽しみくださいませ



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



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