第131話 オジさん騎士は振り絞る力の最後の一滴に賭けてみたい 11-4
どうやら、
ただ楽観できるような状況ではなさそうだ。
「中佐こそ、
ハイエナ同士、獲物の取り合いをしているだけだ。
オジはこの
「第一、もったいないじゃなぁい。
この世界、この時代にはまだ本物の
現代の剣士が、果たして伝説の
だけどどこまで強くなっても、どうしてかそれを認めてくれる人がいない。
それって凄く理不尽なことだとは思わなぁい?」
「まさか、だから見逃せとでも言うつもり?」
「それこそ、まさかでしょぉ?
けど、こちらの
だから、こんなに生き残ってるんじゃなぁい、ねえ?」
だが、こちらはまだ激痛に
なにより、ネジェド暗殺の下手人として
そのせいでポーションによる復帰を許し、
恩着せがましい以上に、言い訳がましい。
だからオジは歯を
「どうしてッ……ここまで、できる?」
「ここまで?
ああ、民間人を巻き込んだことを言っているのぉ」
すでに
「
それこそ、自己責任ってものでしょぉ?
けど、そうねぇ。
あえて他の皆さんの意見を代弁させてもらうなら」
「我々の理想を
生き残った者には新しい
ってところじゃなぁい」
瞬間的に頭に血が昇り、腹の底から
だが、かろうじて左右の手に折れた剣と欠けた盾を
皆の無念がわかっていながら、身体が言うことを聞いてくれない。
挙げ句、これに不快感を表したのはオジや中佐ではなく、魔女のひとりでしかなかった。
「
「あらぁ、みんなそれくらいのこと言われる覚悟があって決行したのではなかったのぉ?
少なくとも!
中佐にはその覚悟があった、だから
冷たく張りつめる空気の中、やがて中佐が諦めたようにため息をつく。
「いいわ、貴女の好きになさい」
「ありがたき幸せよぉ。
皆さんも貴重な弾薬を節約できるのだから感謝してほしいものねぇ」
期待していたわけではないが、やはり自分の手で始末したいというだけのことか。
オジにとっては、銃で殺されるか、剣で殺されるかの違いでしかない。
「本気で動けないのか、動けない振りをしているのかはわからない。
けど貴方はようやく出逢えた本気で
呼応するように彼女の体内に気迫が満ち、それが
「たかが鉄の剣で、強化タングステンの嫁入り道具に対抗できたのは、貴方の身体強化が武器や防具にも及ぶからなんでしょぉ?
たぶん、こういうことだと思うのだけど、やり方はあってるかしら」
彼女の意志に〈霊素〉が反応し、ただでさえ
あらためて、オジは伸びしろの差を自覚させられる。
互角に渡り合っていたようでも、もともとあった才能の差がここに来て大きな
身体的な負傷に加え、どうやっても敵わないのではないかという予感が
まぶたの裏のアレインは戻ってきてくれない。
やはり、想うだけでは届かないのか。
たかが精神論では肉体的限界は超えられないのか。
反撃の糸口が、魂を突き動かすだけの手がかりが欲しい。
ただの
さがす、探す、捜す――
彼の四十二年の人生の中から、わずかな
「……J、K?」
彼女は怒っていた。
テントを仕切るカーテンを勢いよく開き、必死に不満を訴える姿が、唐突に浮かんできたのである。
「いくわ、反撃する力があってもなくても関係なく
肉を切り裂き、骨を
極限まで高めた気力がこの一瞬に集束し、
オジは目線を上げない。
視力が追いつかない。
力を感じない弱々しい動きで
「
狂女は
まるで炎の流す涙のように残光が
それが致命的な断裂を
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