第86話 JK狙撃手は裏切り者にざまぁをしない 7-11
試合中に真剣で襲いかかるなんて、いくらなんでもやり過ぎだ。
誰かに命じられたのでもなければ、普通の兵士には実行へ移せないんじゃいかと思っていた。
たまたま簡単に陰謀論を信じてくれそうなコマが、ちょうどいいポジションにいる。
敵からすれば利用しない手はないだろう。
けど、よりによってあたしの親衛隊を使って、オジを始末させようとするとは、いい度胸じゃん。
ならドローンで攻撃されたときも、ターゲットはオジのほうだった可能性が高い。
今までどちらかと言えば、上級執政官であるファタルさんのほうがターゲットとして優先度が高いと踏んでたけど、そこから考え直さなきゃいけないな。
「ねえ、敵にそそのかされて上官を襲っておいて、まさか無事で済むとでも思った?
オジはなにも言わなかったけど、さすがに甘過ぎじゃない?」
「ま、待ってくれよ、待ってくれよ本当に、あの人らは敵ってわけじゃッ」
やっぱり、血を見なきゃダメかな。
でも、どうやらあたしは少しばかり熱くなり過ぎてたらしい。
いきなり資材の間から、別の兵士が両手を上げながら姿を現したのだ。
「あ、あの、JK様?」
しまった。確か親衛隊のひとりで、新兵のタリムくんだ。
さっき別れた三人の中にいたはずだけど、こっちの男が戻らないので探しに来たのだろう。
「話します……俺が話しますから、そいつを許してやってください。
同じテントの……
「バカ、バレたら俺たちだって!」
「でも俺、グランフェル
タリムくんは抵抗の意思がないことを示すように、その場で膝をつき、思い切り頭を下げてしまう。
まさかのジャパニーズ土下座スタイルだ。
異世界で見ることになるとは思わず、さすがのあたしも鉄の意思を
「すみませんでした!
頭に血が昇って、こうするしかないって思っちまったけど……
盾でぶつかったときもあんなに吹っ飛ばされたのに、ふわっと身体が浮き上がったみたいになってケガもしなかった。
手加減してくれたんですよね?
グランフェル
正直、あたしの中では両方とも消すという選択肢が、かなり上位にランクインしていた。
そのあとリセットして忘れ去ってしまえば、明日のお出かけも気にせず楽しめるってとこまで計算してたくらいだ。
だけど、オジの甘さのおかげかもな。
おかげでテントを出るときは考えもしなかった始末法を思いつくことができた。
「じゃ、全員
「……え?」
フォークを離して立ち上がると、意外そうな顔をされてしまう。
そりゃそうでしょうよ?
やることやっちゃってるので、あたしが訴え出れば普通にブチ込んでもらえるだろう。
「でないとガチで消されちゃうでしょ?
この野営地では、そこが一番安全だから」
そう言うと、ようやく二人とも納得してくれたらしい。
もちろん、あたしは裏切り者を完全無料で助けてあげるほど優しくできていない。
「ただし、条件は敵の情報をすべてあたしに流すことだよ。
あとオジを狙う振りは、そのまま続けてもらえればベストかな。
かえって
上手くいけば、もう一度くらい敵から接触してくれるかもしれないしね。
もちろん、そのときはちゃんと報告すること」
この意味がわからないほどバカではないらしく、二人の顔色は月明かりよりも白くなってしまう。
「それって、に、二重スパイ?」
「本気にされたら味方から、バレたら敵に処されてしまうんじゃ」
すでにそれくらいのことはしてんでしょうに。
「みんなはあたしの親衛隊じゃないん?」
それが殺し文句になったのかは知らない。
最後には二人とも、他の親衛隊員のことも説得すると約束してくれた。
もっとも、彼らから得られた情報は決定的とまでは言えないものだった。
けどあたしの推理をイヤな方向に裏付けてくれたのは確かだ。
そう、これだけは間違いなく、確実に言える。
――カガラムには、裏切り者がいる。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
さあさあ、皆様がた!
この辺りでまた、我ら吟遊詩人にお心ざしを頂戴したく存じます
引き続き一座の
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お楽しみいただけているなら、
ぜひ❤ハートによる応援を!
☆☆☆のレビューを頂戴いただけるならば、
もっとも光栄に存じます
最新話の
どうぞお待ち申しております
もちろん☆ひとつでも、☆☆ふたつでも、大変嬉しく思いますよ
皆様のお心ざし次第では
よろしいですかな?
それでは紳士淑女の皆様がた!
騎士とJKはカガラム市街へと舞い戻り、
多くの神殿が並ぶ中心街にて魔法の習得を目指すようです
ところが街の様子は、
以前とずいぶん違ったものになってるようですな
ここでお席を立つのは
ではまた、ごゆるりとお楽しみくださいませ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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