第44話 ネスト小隊による遊撃
ネスト小隊配属ATLASであるGrimoireは水色を基調とした機体である。
全長は30メートルほどとGAMESやMessiahと比べて一回りほど大きい。
しかし、機体の大きさが上がったことで積載できる武器や予備弾薬、スラスターの大きさや数なども増えており、Grimoireはその大きさに似合わず、推力はMessiahよりも大きい。
だが、Grimoireは重装型ATLASであるため、ザイード隊のMessiahなどに比べれば、機動力はない。
あくまでも機動力はMessiahよりも低いだけであり、推力自体はMessiahに比べて遥かに高く、最高速度や飛行速度に関してはGrimoireの方に軍配が上がる。
そのため、Grimoireはヒットアンドアウェイを得意とした機体であり、Messiahのように正面から斬り合うような機体ではない。
一応、正面戦闘も量産型Messiahよりは強いが、機動力の問題でザイード隊のMessiahには敵わない。
Grimoireの基本武装は大型のレーザーと実弾のどちらも扱えるバズーカランチャーと盾を持ち、バックパックには大型のアサルトライフル2丁とレーザーブレイドが2本装備されている。
ネスト専用機のGrimoireにはプラスで盾とガトリングガンが一体化しているシールドガトリングを両手に装備しているのに加え、レーザーブレイドも高出力のものになっている。
他にもネストのGrimoireはバズーカランチャーを二刀流しているという過剰火力をしている。
ネストのGrimoireは過剰火力を実現するために大型武装を大量に積んでいるため、速度が遅くなっていると思いきや、逆に推力は他の機体よりも高くなっている。
その理由はネストは隊長機と言うこともあり、他のGrimoireよりも装甲やジェネレーター出力なども上がっているためだ。
その影響でネストは大型武装をここまで搭載することができている。
その総合火力は凄まじく、ネストのGrimoireは1機で戦艦にも匹敵する攻撃力を保持している。
そんな機体が高速でヒットアンドアウェイしてくるなど敵からしたら地獄であろう。
そして、今回は地上でも戦うための換装を全てのGrimoireに施されているため、重力圏内でもある程度の時間は空中飛行が可能だ。
そのためなのか、Grimoireのバックパック付近には大型の推進剤のボンベが大量に取り付けられている。
ネスト小隊の隊員たちが空中へ射出されると同時に全身のスラスターを全力で噴かし、体勢を立て直す。
全員が体勢を立て直したタイミングでネストは隊員たちに指示を飛ばす。
「まずは敵主力艦を撃沈させるぞ!!羽虫どもの相手はそれからだ!!」
ネストはまずは敵主力艦である戦艦を撃沈させることを優先するように指示を飛ばす。
それに対し、隊員たちは元気な返事を返すと、そのまま各々が見つけたターゲットへ向けて猛スピードで飛んでいく。
ネストもそれを見て自分も負けじと最高速度で空を駆け抜ける。
ネストは猛スピードで味方艦隊の間を通り抜けるとそのまま敵艦隊の方へ突撃する。
その際に敵戦艦やGAMESからの猛攻撃を受けるもその圧倒的な推力の前では意味をなさない。
ネストは体にかかる負荷に耐えながら猛スピードで戦艦たちによる砲撃を掻い潜る。
そして、戦艦に近づいた瞬間、
「ドカーン!」
そう言うと同時に、両手のバズーカランチャーを戦艦へ向けて放つ。
戦艦は大型のミサイルによる攻撃を受け、大爆発を起こしてそのまま撃沈する。
「まずは1隻!!あいつらには負けてられないぜ!!」
ネストはそう言いながら、その圧倒的な推力によって高速離脱する。
高速離脱したネストはそのまま周りを見渡す。
この付近の戦艦はネスト小隊の隊員たちによるヒットアンドアウェイによってどんどん戦艦や輸送艦などが落とされて行っており、ここではあまり活躍できないなと他の場所へ移ることにする。
そうして、ネストは少し離れた場所まで来ると、そのまま彼も他の隊員に負けじと戦艦を次々と落としていく。
輸送艦や駆逐艦などは後回しで構わない。
とりあえず、最大火力を誇る戦艦さえ沈めてしまえば、こちらの戦艦による一斉掃射によって他の艦は容易に沈められることができる。
空母もこの戦場では役に立たないだろう。
そもそも航空機がATLASによって簡単に破壊されるのに加え、今は重力圏内と言うこともあり、ATLASの出撃も容易ではない。
空母は所詮、ATLASを乗せるための台座としての役目しかできず、そんなものを放っておいても後々処理ができる。
そのため、ネストが迎撃部隊の戦艦を狙って破壊している時、仲間からの通信が入る。
『隊長!!敵の新型ATLASによって我が小隊の仲間が何機か撃ち落とされています!!我々での対処は難しく!!救援を求めます!!』
それはマタイ共和国軍の新型ATLASであるBASIAからの攻撃に苦戦を強いられているものだ。
応援要請を受けたネストはこのまま戦艦を落としているよりも新型ATLASと戦う方が優先すべきかと考える。
そして、味方機が何機か落とされていると言う情報から、これ以上の損害を出さないためにも彼らの救援へ向かうことにしたのだった。
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